第4話購入者候補1
すっかり静かになった元夫に構わず私は話を続けた。
ここからが本題だから。
「勿論、貴男に支払い能力がないのは解っているわ。結婚前に話してくれたように、貴男の実家にも支払う事が困難なのも含めてね。一応、実家の侯爵家に話をしたのだけれど『責任は全てシレネにある。侯爵家は金は一切出さない。シレネ本人に支払わせろ』ですって」
「っつ!」
「だからね、この慰謝料請求書を
「…………は?」
「競売と言っても要は『
「なっ!?」
「あら? 何か不満かしら? 因みに、ローゼンバルク家は
「……」
「辺境伯爵様は私と同じ
「……」
「最後の男爵令嬢は、十八歳のとても綺麗なお嬢さんでね。綺麗すぎて高貴な人の目に留まってしまったの。美しいって罪よね。高貴な人は男爵令嬢に夢中で、結婚したいとまで言い出してしまったから、さぁ大変。高貴な人と結婚するには彼女は身分を始めとした諸々のモノが足りない。いいえ、足りないなんて言葉ではすまないわね。
「……」
青褪めた顔で体を震わせている元夫は半ば放心状態だった。言い方は悪いけれど、『愛玩動物』になるか、『種馬』になるか、『お飾り夫』になるかの三択。
私が彼なら答えは一択しかない。
「さあ、どうしますか? 公爵家か、辺境伯爵家か、それとも男爵令嬢か。どれを選んでも構いませんよ。貴男には
彼がこの話の裏に気付くかどうかで全てが決まる。
私は、どれを選んでも別にいいけれど……彼の
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