〜96〜【D3型自立支援装置=RUA】


光司がクローゼットに転移された頃。

クロノスはアリスを引いたような顔で見つめる。



「マスターをそんな扱いしていいの……? アリスが怖くなるんだけど。怖いよ」

「大丈夫です、マスターをクローゼットに入れただけです」


「それってただわからないままじゃないんっスか?」

「それもそうかもしれません。まぁ、でも遅いですし。それよりも執行官の事では?」


話を大胆にずらすアリス。

ここではもうキラは光司を見に行くと言って転移して行った。


「それっスよね……。親父、だからといってD3を投入だなんてヤバくないっスか?」

「アリスに頼んで貰えばすぐじゃない?」



なんて人任せな神様なのだろう。

もうみんなクロノスに軽蔑の目を抜けようとするがそれは無駄だと言うことを皆が知っていた。


だって、あのゼウスの親なのだから。

そりゃそうなるわなと、誰もが言いたくなるだろう。


「仕方ないですね。一応連絡しておきます」

そうアリスが言うと誰かに念話をつなげる。


『何ぃ! お姉ちゃん! というか、久しぶり♪』

『相変わらず元気だね、ルアは』


とても元気ハツラツな声は楽しそうな声に聞こえる。

少し元気すぎるところがあるが、この声の主こそ【D3型自立支援装置=RUA】なのだ。


ルアは戦闘面での特化した機体であり、アリスやキラと同じく試作型最終完成型の最後のNumbersである。



アリスは、人の心。母性、愛情など、人と暮らす時に必要なことをやってくれる機体として作られた。


そしてキラは書類仕事、面倒事。高位な人との付き合いなど多岐にわたる仕事をやってくれる機体として作成された。


以前、キラは神架図書館アカシック・ライブラリーで総管轄長として神架図書館アカシック・ライブラリーを管理していた経験があるほどだ。


最後に、ルアは戦闘や暗殺。隠密行動などの戦術総管轄。

その他にも戦場の最前で戦うことも多くあった。

キラを少し嫌っているが、アリスにはとてもなついている。



ルアに今回のことを伝え、執行官本部やそれに属するものを全て蹴散らしていい。

そう言ったらルアが、

『ロマン兵器種を使っていいのならやるよぉ!』

なんてことを話し出した。


ロマン兵器種とはへパイトスが好きで編み出したもの。

『効率が悪いが、めっちゃ強い』をテーマにした兵器の事。


だけどロマン兵器種は、テーマの通りとても効率が悪いのだ。

やたらと電力を使ったり、倒れる代わりにクソ強いものを呼び出すとか。

一発使ったら壊れてしまうとか、どうしようもないほどポイントがかかるのだ。


経費がどれだけ削られるかなんてわかったものではない。



「え、待って。ロマン系は被害も出やすいし、経費がヤバいの。今でさえカツカツなのに」

「クロノス、ルアを呼ぶんだったら、それくらいしないと多分来ませんよ。あなたが呼び出したなんて言ったら、多分来なくなるでしょうに……それくらいの条件飲んだらどうなんですか?」


「……そうっスね、それがいいと思うっス。親父も頑固過ぎっスよ。もしくは親父自身で行ったらどうなんっスか?」

もうここには同情してくれるヤツは居ない。


クロノスが諦めるしかないのだ。



「はぁ、いいです〜! もう自腹で払えばいいんでしょ?!」

「録画頂いたっス! お疲れ様です、親父」


「うそだろぉ!!! 後で知らないふりしようとしたのにぃ!!」




この後、クロノスが大量のポイントを払うのをごく少数が知っている。

お疲れ様、クロノスさん。(乙)


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