第二部
第1話退院して…
しばらく病院に入院した後、無事に退院する事が出来た。傷がそんなに深くなかったのが良かった…。まあ、今の俺はそんな事よりも考えるのは姉さんの事…。
今も思うのは唇にキスされたのは夢だったんじゃないかという事…。唇にあの時の感触は残っているものの、姉さんの態度は普段と変わらないのだから…。
とにかく退院して真っ先に両親が行った事といえば俺の退院祝いだ…。バーベキュー会をした時と同じ感じで庭にバーベキューが準備され、あの時よりも食べ物は豪華な感じ…。寿司なんかもあるしな…。
参加者は俺の家族に結伊の家族。それに輝昭、歩美、庵先輩に美優だ。
「「「「「「「「「「退院おめでとう〜!!
!!!!!!!!」」」」」」」」」」
「え〜と…ありがとうみんな…」
「本当に退院出来て良かったよね、聖夜。見舞いに言った時も言ったけど、僕もかなり心配してたんだよ?」
「ありがとな、輝昭」
「歩美はもっと心配していたけどね」
「ちょっとっ、輝昭ぃ!?」
「歩美も本当にありがとうな?」
「べ、別に…聖夜が無事だったから…あたしは…」
「本当本当!私も心配したんだよ?」
「ありがとうございます庵先輩」
「わ、私が一番心配したもん…」
「結伊は何を張り合ってるんだよ…まあ、とにかくありがとうな?」
「…うん」
「せ、先輩…」
「んっ? どうしたんだ、美優?」
俺が美優に尋ねると美優は何かを差し出すと同時に…
「先輩お誕生日おめでとうございます!」
「「「「っ!?」」」」
そっかあ…忘れてたけど、今日は俺の誕生日だったのか…。それにしても結伊と歩美、庵先輩、それに姉さん達は何をそんなに驚いているんだ?まるでしてやられたみたいな…。本人の俺でさえ忘れていたのに別に気にしなくてもいいからな?
とにかく…
「ありがとうな、美優。嬉しいよ」
―そう言って手渡されたラッピングされた物を受け取り、開けていいかを確認。綺麗にラッピングを剥がしていくと箱が出てきた。その箱をパカッっと開けてみると獅子のネックレス…。
「カッコいいな…これっ!」
「ほ、ホントですかっ!?」
「一目見て気に入ったよ…」
「良かったぁ〜…先輩を思って色々考えたんです…」
高かったろうに…美優の頭を優しく撫でながらお礼をもう一度伝える…。
「はふぅ〜…こ、これは…骨抜きにされそうな感触です…」
何だ、骨抜きって?
「あ〜あ…歩美に結伊も完璧に忘れてたんでしょっ?」
「迂闊…」
「心配でそれどころじゃあなかったんだもん…」
「私も聞いていたのに…失敗だったわ…」
輝昭達は何をボソボソ言ってるのやら…
大人はみんな食べたり飲んだりするのに今は夢中みたいだ…。
「先輩…じ、実は…まだ…プレゼントが…ありまして…」
ふと…美優からそんな声が聞こえたので美優に視線を落とすと…
「んっ―」
ちゅっ
まつ毛の数を数えられる程の距離に美優の顔…同時に柔らかい感触と水音が聞こえて…
「「「ああーっ!?」」」
結伊と歩美と庵先輩の声がその場にこだました…。
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