第28話レイプ魔

「ふんふんふ〜ん♪ふふ〜ん♪ふ〜ん♪」


 今日の私はご機嫌なのだ♪


 何故?ふふふ…聞きたい?聞きたいよね?何故なら大好きな先輩にも会えたし、目的の物が買えたから…そのせいで先輩と一緒に帰れなかったのは残念だけど…


「一緒に帰りたかったけど…仕方ないもんね…」


 私はバッグの中から先程買って綺麗に梱包してもらったものを取り出し呟く…


「…先輩…喜んでくれるかな?喜んでくれるといいな…」


 実はもうすぐ先輩の誕生日…。先輩にあげるものを物色していたら先輩に似合いそうなネックレスを見かけたの。私はお店の人にお願いしてお小遣いを貯めた。そこのお店の人が優しくて本当に良かったな…。取り置きしてくれてたんだから…。


 そこまで高いものではないけど…獅子を司どったデザインが秀逸で、先輩が着ける為だけに作られたんじゃないかと本気で思ったんだ…。


「もしかして…感激のあまり私を欲しいとか言われちゃたりして…そ、そうなったら、どうしようどうしよう!?わ、私も以前から先輩が欲しかったとか言っちゃったりして…きゃっ♡」


「―はっ!?いけないいけない…こんな所で妄想してても仕方ないし、遅くなっちゃったから早く帰らないと…」


 私はそっ―と、カバンの中にそれを戻して駆け出した。辺りはすっかり暗くなってしまっている。しばらく走ると公園が見えてきた。家の近くにある少し大きい公園。公園の周りは公園を囲う様に木々が植えられており、公園にはブランコや滑り台、鉄棒や小さな公衆トイレも設置されている。流石に暗くなったからか人の姿はない。


「暗いけどいつもの様に公園を突っ切った方が早いよね」


 公園を抜けた方が近道になるのでいつもの様に公園に足を踏み入れ…その途中…


 ―背後からいきなり口を押さえ付けられ、


「んんっ…んんんっんん!!」


「騒ぐな…殺すぞ!」


 耳元で小さく男は呟く様に言った…。


 何!?何何!?この低い声は誰!?今…殺すって言っ…た?


「…見たところ…中学生か? 騒いだり暴れたりしたら分かるよな?」


 そう言って、男が背後から左手で私の口を押さえ付けたまま、私の視界に入るように右手に持っている物を見せつけてきた…。それはナイフだった…。


(どうしようどうしようどうしよう…怖い怖い怖い怖い怖い…)


 恐怖でどうにかなりそうだった…。その拍子に持っていたカバンは地面にポトンと落としてしまう。


 そして私は引き摺られ様にあっという間に公園のトイレの男性トイレに連れ込まれてしまう…


「なんだ、ここのトイレ。ドアが壊れてやがる…」


 男性トイレには小便器が2つ、大便器が1つあるのが見てとれる。男が呟いた様に一個しかない大便器用のトイレのドアは壊れていて外れかかっている。


「すぐ終わらせればいいか…」


 男はそう言うと私を床へと倒し、私に跨って私の動きを封じてきた…。


 その際、私の口を押さえ付ける男の手が少しだけ緩んだのでその手に噛みつき…


「いてぇ!」


 男が痛がって手を離し…口が自由になった。恐怖で竦みながらも声にならない声を必死に絞り出して私は…


「ぁっ…だ、誰かぁぁぁーーーーー!!」


「このっ…野郎がぁぁぁー!」


 バチーン!


 横顔に衝撃と共に物凄く痛みが走った…


 バチンバチン!


 ―今度は2回連続で痛みが走り…口の中に血の味が広がっていく…


「今度余計な事したら刺すからなっ!」


 そして口の中に何か布みたいな物を無理矢理押し込まれて…


 カチャカチャ…ジィィーー…


 いそいそと男はズボンと一緒に下着も下ろし始めた…目の前の男は私を犯すつもりなんだと嫌でも理解出来た…目の前が滲み…涙が止まらない…


 先輩…先輩先輩…


 目の前の男に私は初めてを奪われてしまう…


 こんな奴に捧げるなんて…


 必死に抵抗するもその度に頬に衝撃が走る…


 嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…


 それは先輩にあげたかったのに…



 男は私のスカートの中に手を入れて…ショーツに手を掛け…


 一気に引き摺り下ろしていく…


 男が下衆な笑みを浮かべながら…


「へへっ…頂くぜ…」


 

 先輩…ごめんなさい…私はこんな奴に…


 こんな事になるんなら…先輩に早く初めてを捧げれば良かったな…先輩…ううっ…ぐすっ…ぐすっ…


 せんぱ…い…




 






 そして…私の初めては…







「クソ野郎がぁぁー!」






 そんな声と共に奪われる事なく守られた…。



 男が床に倒れ伏し…


「美優!逃げろっ!」


 男はすぐさま立ち上がり、声の主と揉み合いになる。


「美優早くっ!!!」


 再度怒号にも似たような初めて聞くその声で我に帰った私は立ち上がり、口に詰められた物を投げ捨て、言われた通りトイレの外へと駆け出し、落としたバッグの中から携帯を取り出し110番…。そして近くの民家へと助けを求めた…。












 

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