第26話グループ通話

 私はRIRIMU《リリム》のアプリを起動させる。RIRIMUは通話、メール、グループ通話等が無料で出来る便利なアプリだ。そしてグループをタップ。


 グループには現在、私と歩美、それに美優に庵先輩が入っている。要は聖夜の事が好きな者が入っており、時折聖夜と何があったかとか色々な事を話している。


 そしてグループ通話をタップ。すると呼び出し音が鳴り、画面は3分割になった。そして最初に歩美が画面に映る。


『どうかしたの、結伊?』


 続いて画面に映ったのは後輩の美優―

 

『…嫌な予感しかしないのですが、結伊先輩』


 そして最後に画面に映ったのは最近このグループに入った庵先輩―


『どうかしたのかしら?』


「3人共ごめんね、一応あった事は共有するのがグループの鉄則だよね?」


『…美優の言う通りアタシも結伊の顔を見てると嫌な予感しか感じないわね…』


 そ、そんなに…私って顔に出てるかな?


『ですよねぇ〜 結伊先輩の締まりのない顔で私も既に聞きたくない気がしています』


「だ、だったら…言わないもん」


『あら…私は聞きたいわよ…鈍感な筈の聖夜君が何をしたのか…それにこの間は私の事聞いてもらったしね』


『付き合った…とかではないのよね?』

『ですです…』


「つ、付き合って…はいないんだけど…」


『なんか今日はやけに結伊の歯切れが悪いというか…』

『ま、まさか…先輩とキス…とか?』

『…そうなの!?』


「ううん…それはないけど…」


『もう だったら早く言いなさい?』


「え〜とね…色々あって…聖夜とお互い裸で密着して…」


『『『………………はっ?』』』


「だ、だから…色々あって…」


『まずはその色々から話しなさいよっ!?』

『そこははっしょってはいけないところですよ、結伊先輩!?』

『2人の言う通りよっ!?何がどうなったらそうなれるのよっ!?』


「じ、実は――」


 私は友達に傘を貸して聖夜と相合傘で帰った事、その際聖夜の肩が濡れていた事、聖夜が鍵を忘れて家に入れなかった事、だから私の家でシャワーを浴びてもらった事を話した…。


『ぎ、ギルティー!ギルティだからね、結伊!』

『ホントですよっ!?そんな…羨まっ…ハレンチな…』

『お風呂場によく突入出来たわね…』


「えへへ…頑張ったんだ…」


『照れながら「えへへ…頑張ったんだ…」じゃあないわよっ!?』

『ですですぅ〜!!これだからお隣さんはっ…』

『やるわね…幼馴染属性を活かすなんて…』


「と、とにかくねっ…そういう事で…その…ねっ…聖夜と…や、ヤっちゃった…みたいな感じに思われてね…」


『ヤっちゃたみたいなじゃあないのよっ!?誤解!誤解でしょっ!?まずはその誤解を解きなさいよっ!?』

『そ、そうですよ!処女の癖にっ!!』

『え〜と…結伊は…聖夜君のモノを見たと言う事かしら?』


『『!?!?』』


 歩美と美優が同時に目を大きく見開いている…私は指摘された事を思い出して…顔が物凄く熱い…


『…その顔…見たのね?』

『そんな…バナナ…』

『美優…アンタ聖夜のをバナナに今例えた?』 

『だって…バナナは教材ですよね?』


『『「…………」』』


『ちょっ!?何で何も言わないんです!?これじゃあ私だけえっちみたいじゃあないですかぁ〜!?』


『…変態の美優は…取り敢えず置いておいて…』

『置いとかないで下さいよっ!それに絶対みんなも思ってるし…ちょっとした予行練習してますよね!?そうですよねっ!?』


『そ、それで結伊…』

『ちょっとぉー!?』


「な、な〜に、歩美?」


『どうだったの?アイツは鈍いじゃない?は、反応してた?』


『『ごくっ…』』


 美優は分かるけど庵先輩もそこは気になるのか…


「密着した時…す、凄く…熱くて…逞しくて…こ、これ以上言えないよぉ〜」


『ぜ、全部言ってる気がするのは…アタシだけかしら?』

『全部言ってますね…そうですか…美優に入るといいのですが…』

『…美優って…かなりエッチなんだね…』

『庵先輩迄!?私は普通ですよ!』


「と、とにかく、そんな感じで…親公認になって…」


『…アタシも…攻めてやるんだから…』

『私だって…負けません!』

『あら…私だって負けないからね?』


「私からは以上…だよ。ま、また掛けるからね?」


『今度はアタシが掛けるからね?』

『それは私のセリフです!』

『ホント…聖夜君も罪な男よね…それじゃあ…私も頑張ろうっと!』


「そ、それじゃあ…またね?」


『『『またね!』』』


 グループ通話を終えた私は…また一人で色々と思い出してニヤニヤしてしまうのでした… 





***

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