第12話デートからしばらくして
「いや~本当に毎日楽しいよ!聖夜様々だっ!崇めていいか?」
「崇めなくていいからな?」
「どうしてもと言うなら…嫌だけど俺のケツ貸してやるからな?」
「いらねぇぇぇーよ!!!」
「…いるって言われたらどうしようかと思っちまったぜ!ハハハハハハッ─」
彼女が出来てから田嶋は劇的に変わった…。物凄く陽気になった。元々こういう感じか?とにかく毎日が楽しそう…そんな感じ。彼女が出来た奴はこれ程変わるのかという位に…。毎日の様に俺の所にやって来てはこうしてご機嫌にデートした話だったり、彼女の自慢話を延々と聞かせて来るのだ…。参るよな?俺なんて彼女が居ないというのに…。
「ホント…アレだな…転生して良かったよ」
「…転生してって…そういえばここってどういう世界なんだよ?」
遠回しに聞いてみるか…。
「勿論恋愛ゲームだぞ!」
「そうなの?」
有益な話は聞けないか…?
「『君と恋して♡~番外編~』っていうゲームの…」
今…何て言った?
「も、もう一回言ってくれるか?」
「んっ?ああ、『君と恋して♡』の番外編だな!」
番外編なんて知らないぞっ!?俺の知ってるゲームの世界ではない?だから輝昭は…二股かけてる?主人公じゃあないのか?
「…ちなみになんだが…ゲームという事は勿論主役が居るんだよな?」
「当然だろ!心友!」
「それが誰か聞いても?」
「そんなの春さんに決まってるだろ?」
「…はあっ!?姉さん???」
「ああ!お前の姉さんが確か主役だぜ!」
姉さんが主役…?俺が転生した後に発売されたのか?分からない事だらけだ…
「姉さんが主役って…一体…ど、どんな話なんだ?」
「ああ…それは…『聖夜!』…おっと、ほらっ、春さんだぞ?」
丁度のタイミングで現れたのは姉さん…。タイミングが本当に悪い…悪過ぎる…。
「聖夜!早く来なさい!今日は早く帰らないとでしょ?」
「分かってる…」
「じゃあ、またな聖夜!」
「…ああ、またっ!」
***
早く帰らないといけないのは用事の為。大した用事ではないのだが、何か母さんが通販で買い物をしたらしく早く帰って受け取ってもらっておいて欲しいと頼まれた為だ…。現世の様に時間指定とかあったら良かったんだけどな…。まあ、姉さんと帰れるのは嬉しいけどな…。一緒に帰るのは久しぶりだしな…。
「そういえば田嶋君と何を話していたの?随分盛り上がって話していたみたいだけど…」
「田嶋が盛り上がってただけだからな?」
「そう?あっ…分かった!」
「…分かったって何が?」
「エ…エッチな話でもしてたんでしょ?」
「ぶふぉっ!?違う!断じて違うからッ!?」
「あ、慌ててるのが逆に怪しいけど…」
何を言い出すのだ…この姉は…
「あんまり学校でそういう事言ってると軽蔑されるよ?結伊ちゃんや歩美ちゃんからも」
…そう来たか…。ならば…
「じゃあ、姉さん…」
「…何?」
「そういう事ってどういう事?」
「ぅえっ!?」
「俺、そういうの全く分からないから詳しく教えてくれる?」
「ななな、何を?」
「だからそういう事をだけど?」
「…聖夜のエッチ!知らないわよ!そんなの!」
「姉さんがエッチなだけだろ?」
「私は違うもん…」
「じゃあ、ムッツリスケベ?」
「聖夜ぁ?」
ヤベッ…言いすぎた…。これは逃げるが勝ちか…。
「待ちなさい!聖夜!」
「待たないよ!」
余談だが母さんの荷物は話題の美顔器だった。
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