第13話
「セレスはさ、戦えるの?」
「……戦えません」
「えぇ……そこを鍛えてもらってよ」
「いえ、そういうことではなくですね。ザイン様にその事についてもお願いしたんです。そしたら──」
『いやいや、サフェトくんと同じレベルで戦おうだなんて、そんな一週間じゃ無理だよ。なんなら20年かけても無理かもしれない』
「──って」
「……僕そんなに強くないけどね」
「なのである程度、大体グランウルフくらいは倒せるくらいには鍛えました!」
「いや十分強いけどね?」
グランウルフをソロで倒すには最低でも銀等級ほどの実力がないと倒せないと言われている。つまり彼女は一週間でそれほどまでに鍛えたのだ。
「私には幸いアビリティがありましたので」
「へぇ、それは珍しい」
アビリティ持ちはこの大陸で約三割ほどしかいない。なので持っているだけで冒険者の等級が上がったりするのだ。
「私のアビリティは
「へぇ。それは凄いね」
でもそれが一番活用されるのは冒険者など命の危険に晒される仕事とかだと言うことはなんともまぁ。
「なのであの時もグランウルフを察知できたんです」
「なるほどね」
「ですから、戦闘面では足を引っ張るかもしれませんが、死角からの攻撃などからはお守りすることができます!」
「……」
「あっ……」
と、そこで何かに気付いたのか、少しだけ眉を下げた……あぁ、なるほど。僕には死角がないことに気がついたのか。
「これでは私、なんの意味がありません!」
「いや、得物は何さ」
「えっと……片手剣です。基本避けながら戦う」
「なるほどね」
それだったら僕と結構相性いいんじゃないのかな?彼女が攻めて、僕が守る……ってこともできるし、彼女が自前で死角からの攻撃を対処してくれるんだったら僕は
彼女の実力はこの際問題に上げない。それは何度も経験を積めば問題ないだろうから。
しかし、ソロでの限界というのはまだ感じてはいなかったけど……パーティは姉さんとしか組んだことなかったからそこが心配かな。
「それじゃあ冒険者登録しに行こうか」
「っ!はい!」
僕が席を立つと、彼女は嬉しそうに僕の後を付いてきた。まぁ僕が彼女を助けたんだ、まだ成長しきっていない彼女を育てるってのは、助けた者の責任ってやつだと思うからさ。
これも運命だと思ってちゃんと彼女を一人前の冒険者に育てようか。
「これで冒険者登録は完了しました。一応なったばかりの新人冒険者を対象とした冒険者説明会というのがありますが……必要ないですよね」
「そうですね。サフェトさんに色々聞きますっ」
「わかりました……にしてもサフェトさん」
「……何?」
「こんな可愛い子がいただなんて……サフェトさんも、隅には置けないですね」
「この子は知り合いの子供だから関係ないでしょ」
絶対言われると思った。だってセレス、前までは汚れとかであれだったけど、今はしっかりと綺麗になっているから、結構目立っているのだ。
冒険者ギルドの中の視線を独り占めしている。ついでに僕には嫉妬の視線が突き刺さっている。不本意である。
そしてセレスに僕に対する呼び方についても矯正させてもらった。サフェト様、なんて呼ばれてたら色々やばいでしょ。
だからサフェトさん、と言うふうにしたのだ。彼女は嫌がっていたが。これも仕方ないとして無理矢理押し通した。
「それで、サフェトさんとセレスさんはパーティ登録をする、と言うことでよろしかったでしょうか?」
「うん」
「お願いします」
「分かりました。ではそのように手続きを進めておきます。それで早速クエストを受けるのですよね?」
「うん。これを」
「また、盗賊ですか」
「今後は盗賊狩りをしていくかもしれないからね」
「なるほど。それについてはセレスさんは……」
「もちろん知ってる」
「……なるほど分かりました。では、よろしくお願いします」
「うん、行ってくるよ」
「エリナさん、ありがとうございました」
僕とセレスはギルドを出た。その時エリナさんの表情が少しだけ曇っていたのが気になったが、どうでもいいか。
その後いつもの焼き鳥屋で焼き鳥を4本買った。その時店主のおじさんから、
「お、サフェトお前彼女できたのか」
「違うよ」
「おお、そうかそうか。サービスで2本追加しようか」
「だから違うって」
でも貰えるのはありがたいので、それは貰っておいた。おじさんの勘違いは訂正させておいた。
「それじゃあ行こっか」
「はいっ」
目指すは西。暁らしき者らが出たからね。
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