最終話 FFJよ、永遠なれ!
無事に婚約破棄も追放もできたね。アンリさんには悪いことをしたとはちょっとだけ思っているけど、ヒロインちゃんなんだから抜けさせるわけにはいかないよね。私だってLOVEパワー、二次創作書くくらい大好きなんだから。
幸せになるのよ~! あああああああちゃん!
事起こす前に、冒険者ギルドには相談したのよ。冒険者ギルドは国とは違う組織だから。貴族と仲悪いからね。終わった後報告に行ったら、ギルド長、腹抱えて笑ってくれたわ。
まあね、めでたい話だ。今晩は私のおごりで冒険者全員で飲み会よ! 私とメイリはノンアルコール、フレッシュジュースで乾杯だけどね。ま、お別れの感謝会も兼ねてるからさ。店貸し切りだ! 飲め飲め!
私のギルドカードは、平民のリリアとして作り直した。手数料めちゃくちゃ高かったよ。ミスリルカードだからしょうがないね。
これで私は単なる一介の冒険者。メイリと一緒にお母様の生まれた国、ウインター・コールド王国を目指しましょう。
◇
『『みぃの〇いー〇ほに ふ~〇と〇ーと〜~』』
今日も二人でFFJを歌いながら、私達は街道を歩いていた。路銀の心配もないし、気を使うしがらみもない。自由って素敵ね。
「ウインター・コールド王国に着いたら、家と畑を買いましょう。そして二人でゆっくと余生を過ごそう』
「ステキです! リリア様」
うんうん。学園で過ごした五年で120億ゴールド貯まっているし。こんなに持ち出したら王国不況にならないかな? ま、大丈夫でしょう。きっと。国家予算より多いけど心配してもしょうがないね。
楽しくメイリと歩いていたら、向こうから土龍が大きな口を開けてやってきた。餌にする気だ。
「メイリ!」
「はい!」
メイリに四俣フォークを投げ与え、私はシャベルを構える。
「今だ!」
メイリのフォークが土龍の目に刺さる。そこにできた隙をついて、私のシャベルが、土龍の喉元を抉る。
首を切ったら、たいがいの動物は死ぬよ。シャベルを横薙ぎにし、土龍を倒した。
やったね、ギルドへ持って行って換金だ!
マジックバックに解体せずに入れた。今日は贅沢するよ、メイリ! 次の街は温泉地だから、一緒に入るよ! 楽しみだね。
気分がいい時はFFJを歌うに限る。
『『みぃの〇いー〇ほに ふ~〇と〇ーと〜~』』
『『『あ〜い○へーい○を あ〜らわ○た〜』』』
あれ? カギカッコ増えてる?
『何農だ』
誰だよ! 農高同士か?
眼の前にでて来た女性は、スラッとした長身で、華やかな振り袖に矢絣の袴姿。長い黒髪が風にたなびいている。 凛とした佇まいなのになんて色っぽいの。FFJ歌えたから農高出身者よね。仲間よ! 高校答えなきゃ。
『道ノ奥農ですわ』
『我は蝦夷農だ。転生者か! ようこそ!』
やっぱり農高の同士だよ! FFJは農高を繋ぐ歌! しかも蝦夷農? 農高の中でもエリート中のエリート高じゃん! 敷地広いし、馬もいるのよね。農高生憧れの蝦夷農出身者だよ!
『失礼いたしました。私、LOVEパワーキャラではリリア・ゴールドラッシュに転生しました、道ノ奥農2年、桜凛と申します。こちらはわたくしのメイド、現地出身のメイリですわ。よろしくお願いしますね』
『リリア様か! なるほど、それであの強さか! リリア様好きだぞ。とある小説を読んでな、ファンになったんだ。サクラリンゴ先生の小説だ。そこからゲーム始めたからニワカなんだよ。藤田 詩乃。蝦夷農3年。シノって呼んでくれ。よろしくな』
えっ、読者様二人目! リアルじゃ会えなかったのに。
『あの、サクラリンゴは私のペンネームです。「はかなさの代償」、私の代表作』
『それよ! 『はかなさの代償』。あ〜! タイトル思い出せなくてもやもやしていたの、ナオのやつ、私が思い出せなくて困っているの見ては面白がっで教えてくれないし……って、先生? サクラリンゴ先生!? か、神、神がいた!』
ここで、あああああああちゃんと同じ反応が来るとは! 玉こん出すか。
『食べます?』
『玉こん! 懐かしいわね。プロジェクト発表で行ったことがあるわ、道丿奥農。そこで頂いたの』
ええ〜! あの時いてたの!
『それで、我は魔王に転生してさ。何やったらいいのか。リリアって、追放されて我が配下になるのよね』
『そうですね。ゲームでは四天王の最弱になるのかな?』
『よかった〜! こっちのメンツ、一周したぐらいの人が多くてさ。指揮官になって! お願い! いえ、お願いします。サクラリンゴ先生〜!』
蝦夷農の先輩にお願いされちゃったよ。ゲームの強制力なのかな? 他にも転生者いるみたいだし、行ってみるか。
『分かりました。とりあえず他の方にあわせて頂けませんか? それから考えさせて頂きます』
『もちろんよ。みんな喜ぶわ! こっちよ、来て!』
シノ魔王様の案内で、魔族の村に行くことになったよ。半日かかったね。けもの道のような足場悪い道や、崖の上の細い道を通っていくから、そうね、普通の人じゃ入り込むことないよね。
『みんな~ 喜んで! リリア様よ! リリア様が降臨なさられたわ!』
降臨って! どんな紹介! 村の中央にある館に入りながら、しの魔王様は大声で叫んだ。
『何だって。ゲームが進んだのか?』
二人の男性と一人の女性が出てきた。みんな着物や作務衣を着ている。和服文化なの? 魔族の村って?
『紹介しよう。リリア・ゴールドラッシュ。道ノ奥農業高校2年、桜凛さんだ。なんとあのサクラリンゴ様でもあるんだ!』
『ええっ! 『はかなさの代償』の先生なんですか! 神! 神作家様!』
眼鏡をかけた細身の女の子が叫んだ。
『あ、私、梅谷なおです。ナオって呼んでください。帝都農高1年生でした』
帝都農! 首都圏にあるあの帝農? 蝦夷農とライバルのあの巨大農高⁈
『俺は菊池海斗。南国水産高校3年だった。カイトと呼んだらいい』
水産高校? 着物が着崩れて、筋肉が! イケメンさんだよ。隠し攻略キャラだよ!
『ボクは松田渚、ナギサって呼んでね。古都高専4年。あ、ボク女だから。男って思ったでしょ』
ごめん。ボクっ子だったの? それに高専? エリートじゃん。
『ここに、あなたが入ってくれたら四天王が揃うのよ。お願い。入って?』
このメンツじゃ、確かに私四天王最弱ね。
『まあ、すぐに決めなくてもいいわ。2~3日ゆっくりして。そうだ! 夕ご飯一緒に食べよう! 向こうじゃ食べられなかったでしょ、和食。米も味噌も醤油もあるのよ』
なんですとー! 米! 米があるの?
『農高生と水高生と高専生がいるのよ。しかも、魔導書もあるしね。IHヒーターみたいなのも作ったんだから』
その魔導書、薄いけど見覚えがある。日本語で書かれたあれだ!
『これ、知ってる?』
私はバックから魔導書を出した。
『これは! この本の原書じゃないか! うっわ、こんなにページある!』
ナギサが食いついてきた。ついでに、私の作った魔道具も出したら検品始めたよ。
『すげえよ。一緒に研究しよう! 作りたい放題だよ!』
興奮してるね。
あ、メイリが拗ねてる。
「リリア様、この人たち何なの? 全然言葉が分からないです! さっきからリリア様まで訳の分からない言葉で話して!」
そうか! 私日本語で話しているんだ。そりゃメイリにゃ分からんね。
日本語の時は『……』二重カギカッコ、王国語は「……」で話しているみたいだね。なんか違和感あると思っていたよ
「この方たちは、魔王様とそのお仲間だ」
「ふぇっ? 魔王!!!」
「大丈夫、安心しな。私の仲間らしい。FFJ仲間だ!」
「なんですか、それは! 大丈夫なんかじゃないです!」
『何を話しているのだ? リリア』
『シノ魔王様。この子は私のメイドで、私の相棒のメイリ。野良仕事は仕込んであるし、生活魔法も使えるわ。勇者パーティの指導者もしていたし、追放劇の時、勇者パーティ一人で倒して来たから、そこそこ強いよ』
『勇者パーティ潰してそこそこって……』
あ、シノ魔王さま引いてるよ。だってメイリ、私から見たらまだまだ伸びしろがあるんだもん。
「メイリ、今あなたの紹介をしたわ。え~とね、この方はシノ魔王様。魔王とか魔族って言われているけど私には分かる。この人たちは見た目が黒目黒髪なだけの異国の人達よ。だから言葉も違うの。私の持っている魔導書の言葉を話す人達よ。敵対する気はないの。私を信じて」
「リリア様がそういうのでしたら……」
しぶしぶって感じか。仕方ないよね。とにかく両方に今の状況理解してもらわないと。と思ったら食事が用意されたみたい。
『まあまあ、今日はご飯と唐揚げに豚汁。トマトサラダにお刺身ですよ』
『刺身は俺が切った。炙りもあるから味わって食えよ』
食堂に案内された。ホカホカのご飯! ああご飯だよ。夢にまで見た和食だらけの食卓! 泣けてくる。
『『『いただきます』』』
私は茶碗を持ち上げ、炊き立てご飯を頬張った。
ほのかな甘みが口いっぱい広がる。柔らかく炊けたご飯が口の中で粘り気を主張する。
もぐもぐもぐと噛めば噛むほど、甘味と幸せが口いっぱいに広がる。
おいしい! これよ! 夢にまで見たごはん。あっ、目の前には唐揚げが引力を発しているわ! 箸を伸ばし唐揚げをつまんだ。
醤油味だ! 最高! 熱々の唐揚げ! とろける。とろけていくよ。 え? 唐揚げって飲み物だった? 口の中からあっという間に消えていった。このタイミングでごはんを一口。最高! そこに流し込んだ豚汁も最高よ! 人参! 人参がいい仕事したよ! お味噌最高!
『ごはん、おかわり下さい』
もう恥も外聞もないわ! 刺身をご飯の上に全部乗っけた。海鮮丼よ! ワサビもあるよ。なんて気が利いてるのよ! 小皿で醤油にワサビを溶いて刺身の上に回しかけた。
掻っ込んで食うのよメイリ! これが海鮮丼よ! ぷりぷりと弾力のある白身魚と、醤油まみれの白米がダンスをするように混ざり合う。あ、カツオ? 赤身魚の癖の強い炙りの味と食感が舌の触りに変化を与えてるよ。香ばしい香りも素敵。
トマトサラダも最高よ! シャキシャキとしたレタスと甘くて
『最初に飯を出すとみんなこうなるんだよな』
カイトが何か言ってる。みんな頷いているけどなにかな。
『ごちそうさまでした』
和の食材に感謝よ。メイリも最初は警戒していたけど、全部食べているわ。
「メイリ! ここがいい! ここに住むよ」
「え? 即決ですね。いいんですか? ウインター・コールド王国に行かなくて」
「それは追々考えればいいわ。この食材、この料理! 私が夢に描いていたものが、すべて揃っているのよ。ここは天国! いえ、和の国だから極楽ね!」
「何言っているのか分かりません! だいたい私は言葉通じないんですよ!」
「それもそうか……」
『何相談してるのか分からないけど、難しい顔してるね。疲れているのか? 温泉もあるけど、行くかい? ゆっくりしたら?』
温泉⁉ シノ魔王様! どれだけ日本なんですか! この村!
『温泉最高よね~。和食おいしいよね~。癒されるよね~。四天王になってくれたら好きに開拓してもいいのよ~。田んぼだって畑だって発明だってやりたい放題よ~』
誘惑の声が響く。
『ふふふ。即決しないでいいわよ〜。ゆっくりしていってね』
女子みんなで温泉に入ったよ! 温泉最高!
「尻尾も羽もツノも生えていない」
メイリ、じろじろ見るのはマナー違反!
『どうした?』
『ごめんね。魔族は尻尾とか羽が生えてると思い込んでいるの。じろじろ見てるのやめさせるね』
『なんだそんな事か。それで疑いが晴れるのなら見るがいい。わがプロポ―ジョンを!』
シノ魔王様! 立ち上がってポーズ決めなくても! メイリのレズっ気に火がぁ~!
「お姉様……」
あああああ~! 目がハートマークに!
まあ、いいか……。はぁ。
◇
って、もう10万字になるの?! 待って、これからがいい所なのに!
カクヨムコン、何万文字書いても、終了していなくてもいいのよね。えっ、作者が嫌がってるの? 10万字で終える予定? 待ってよ! せめてどうなったかだけでも言わせて!
まず大前提ね。魔族の村って、転生者が多く集まった村だったの。別に魔族とかじゃなくて普通の人間の集まった村。黒目黒髪が多いのは日本人とその子孫だからよ。
この世界から見たら、特殊な技術や風習があって、さらに見た目と言葉が違うから、勝手に魔族って迫害されているだけなの。侵略とかする気もないし!
魔物はね、勝手に暴れているだけで魔族とは何の関係もない生き物。彼らの言う魔王なんて元々いないし、勝手に話盛って人々を惑わしているだけ。いい迷惑らしいよ。
私はこれから、ナギサと農機具の魔道具開発したり、冒険者としてウインター・コールドへ行って、魔族の誤解を解いたりするのよ。
王都では、魔道具で生活が豊かになったのに、私が去ってから魔力を充填できる人材を育てなかったから困っているみたい。
学園は魔力を充填しろっていう国民の声に大わらわしている。先生たち、自分たちの成果として発表したもんだから、何で今まで出来たのに、今出来ないか説明に困っていたらしいよ。
結局私が作って私が充填していたことがバレて責任問題が勃発。
王子たちも、専属研ぎ師無しでは剣の切れ味が維持出来なくなって困っているようね。
結局、私を探し回っているみたいね。あの騒動も茶番だと気づいたから、魔族じゃないって言ってるみたい。
帰っていいとお触れがでたようね。しらな〜い! 気にしな〜い。
なんだかんだで、あああああああちゃんに、この村のみんなを会わせて和食食べさせたり、言葉の壁が大きいメイリをウインター・コールドに行かせてお別れしたり、その関係で魔族と人間を和解させたり、あああああああちゃん通じて王都と取り引き始めたり。いろんなことがこれから起こるのよ! 楽しみだけど読めないよ。残念だね。
読みたい? ごめんね。 恨むなら作者よ! まあ、カクヨムコンで賞取って書籍化でもしたら、編集さんから2巻目って言われるかもしれないけど……
取れるか! こんな話で! 作者夢みんなよ。審査員はまともな人達なんだからね!
あ、星! ★★★! 星よろしくね!
あとついでだ、宣伝もしておこう!
この話続きないらしいから、今連載している話見ない? 私と同じ5歳から始まるカワイイ女の子のお話よ。これね↓
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!〜 https://kakuyomu.jp/works/16817139555810310315
これだけ書けば10万文字超えたんじゃない?
さあ、やりたい放題だったこの研ぎ師リリアのお話、いかがだったかしら。
楽しかった? それなら良かったわ!
じゃあね、私の話はこれでおしまい。ま、作者が調子乗って続き書くかもしれないし、フォローはずさないほうがいいかもね。間話くらい書くんじゃない? 私が溺愛される話とか……。
あるかよ そんなもん!
ま、気長に待っててね。それじゃあねー。
――研ぎ師リリア 第一部 完――
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