転生したのにはずれスキル「???」それでもどうやら最強だったようです。
りハク
プロローグ
第0話 プロローグ
俺は今日はまでの17年間、この見た目と名前で損をしてきた。中性的で、「男らしさ」よりも「可愛らしさ」が勝つ顔面、女子だとすこし高いが男子だと低い168センチという身長、決して筋肉質ではなく、かといって女性らしいとも言い難い身体、そして親がふざけてつけたとしか思えない「
幼いときから「男なのに女のようなやつだ」「赤いのに青いとは変な名前だ」などと幾度となく言われた。進学する際、誰も知らないところに行こうと、地元から遠くの高校に進学してからは、なぜかクラスの男女のみならず、先生たちからもほとんど会話をしてくれないようになった。
まるで腫れ物に触るかのような対応である。理由はわからないけど、多分この「見た目」と「名前」のせいなのだ。
たぶんきっとそうに違いない。
あれは雪の降る寒い日だった。今年初の雪、積雪もあるかという予報だった。学校の帰り道、最寄り駅で降りた俺は普段は歩かない帰路を歩いていた。
「雪で道が凍ると危ないからね」
母にそう言われた俺は素直に歩くことを選んだ。普段なら10分とかからない道を倍の時間をかけて帰宅する。
たまにはこういうのもいいもんだ、歩いたほうが顔も冷たくないな。そんなことを考えながら歩いていたときだった。
視界に火花が走った。
は?これはなにがおこったんだ?そう思った瞬間、俺の体は制御ができず、倒れ込んだ。
そのショックなのか、体が動かない。遅れて、後頭部に激しい痛みが走る。殴られた?どうして?おれが?一体誰が?全くまとまらない思考。
「ちょっと待って、こいつじゃない!」
後ろから、聞いたことのない女の声がした。
「嘘だろ!お前がこいつだっていうから!」
どうやら男も一緒らしい。
「だって似てたんだもの!いつもこの時間にここを歩くのはあいつだけだったし!」
人違い?俺は俺に似た誰かのせいで、こんな天気のせいで、もっというと自転車に乗らなかった自分のせいで後ろから何かで殴られたのか?声も出ない。
徐々に薄れていく意識の中で、生暖かいものが頬を流れていった。そして、離れていく二人の足音と、徐々に失われていく体温を感じながら、
「嘘だろ…、見た目だけで判断するときはせめてもっとよく見ろよ…」
声にもならない声を挙げたつもりで目を閉じた。
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