外国からの来賓

第24話紹介


「おーいライアンこっちこっち」


久しぶりに会うギャル達がハンター協会の中に入っている食事処?酒場?カフェ?で手を振っている。



「ギャル、目立つ」


「ん!?あーしのことそんな名前で呼んでたの?」


「あはは。ミヤは確かにギャルっていう見た目してるもんね。それにしてもライアンは休みの日もその格好なんだね」



そう、俺以外の銀翼のメンバーは私服で楽な格好でくつろいでいる。



「ダンジョン帰り」

「なんで俺たちに会う前にダンジョンになんか潜っているんだよ」


「体、動かしたかった」


そう、俺がスタンピードで相手にできなかった地主をダンジョンで倒してきた帰りなのだ。



「スタンピードが終わってまだ3日しか経ってないのにダンジョンに潜っているのか」



紫苑も「俺もそろそろダンジョンに潜るか」って言うとギャルが「もう少し休もーよ」って言っている。



「で、その人が魔法のエキスパート?」


銀翼のメンバー以外に体を縮こませて端に顔を俯かせて座っている黒髪の前髪少年がいる。



「そうだよ~。プライドの二つ名を持つ魔王の陰キャでーす~」


「は、はっはじめまして…ぃんきゃです」


顔を俯かせて俺と目をぜんぜん合わせない前髪がきょどりながら自己紹介をする。この姿勢には少し親近感を覚える。



「ライアン」


そう俺も短く自己紹介をする。



「えっそれだけ?まぁいいけど、ライアンも座りなよ。陰キャの目の前あいてるから」


そう言われたで俺も座り、メニュー表を見て店員を呼びつける。




「カツサンド、ビッグマウンテンバーガー、ポテト、コーラ以上で」


「確認します。カツサンド、ビッグマウンテンバーガー、ポテト、コーラがおひとつづつでよろしいですか?」


「うん」




俺が注文し終わると前髪が話しかけてくる。


「そ、それでライアンさんは闇魔法をお持ちで?」


「うん」



「おまえいくつ魔法を使えるんだよ?僕が倒れたときも回復魔法や付与魔法を使ってんたんだろう。地主と戦っていたときだって火球や風魔法を使ってたし本当に闇魔法まで使えるわけ?」



と、ラグーが疑ってきたが疑う気持ちも分かる。通常、魔法適正は2~3が平均で4以上あるのは稀だ。5以上行くと賢者の職業が職業欄に現れるが賢者になった人は分かっているだけで世界で2桁しかいない。



「もしや闇魔法を使えると、う、嘘をつかれたんですか?」


前髪の間から見え隠れする血のような瞳に狂気が宿る。それを合図に周りにいた黒い神官服を着た人たちから殺気が立ち上った。



「全属性持ち」


俺は気にせず、のんきに運ばれてきたポテトを食べながら答える。



「はぁーーー!?」


ラグーや銀翼のメンバーは口を開けて驚く。



「わ、我を馬鹿にしてます?陰キャで落ちこぼれな、バカな我でもそれが嘘のことぐらい。わ、わかります」



前髪は最初の勢いはどうしたっていうくらい最後は自分で言った言葉に傷つきながらその言葉を言い切る。するとその様子を見ていた剣や武器を持って黒い神官服を着た人たちが俺に襲い掛かるではないか。



「なら、見てもらったほうが早い」


俺は襲い掛かってきた神官服の人達や銀翼のメンバー、自分を巻き込みながら闇魔法の動きをスローモーションにする魔法を使う。少し、魔力を込めすぎて効果や範囲が大雑把に広がったが問題ないだろう。



そして、スローモーションになった黒い神官服を着た人たちをちょっと時間をかけながら黒い鎖の拘束魔法チェインで拘束する。すると、同時にスローモーションの魔法が解ける。



「なんで、僕たちまで巻き込んでるわけ!?疑った仕返しかよ!」


「失敗しただけ」


俺にラグーが怒りながら抗議していると、拍手がおきる。




「素晴らしい。魔法発動はくそみたいだが、これは確かに深淵の闇魔法だ」


と俺の闇魔法を発動を察知して闇魔法の範囲外に瞬間移動した前髪が前髪をかきあげながら赤い瞳をランランと輝かせる。



なんか、性格変わってない?さっきの下手に出てた反応と違って上から目線だな。



「あーあ。ライアン、プライドに目を付けられちゃったね~」


それにしても黒い神官服を着た人たちが拘束されているのに誰も何も言わずに無視している。それも俺たち以外の人たちも。


それをギャルに言うと。



「あー。あの狂信者たちはいつものことだから気にしなくていいよ」と返された。



「ライアン、一度場所を変えて話したほうが良さそうだ」

「そうだね」

この騒動を嗅ぎつけたギャラリーが集まってきた。



「な、なら。我の研究所にきませんか?我以外の人は基本、建物の出入り禁止ですし…もちろんいやならいいですけど」


と、前髪がもどった前髪がそう提案してくる。



「いいじゃん。じゃあ、早くお会計済ませよっ!」


ギャルは俺の分含めて会計を済ませて、ハンター協会の外に出る。



「払う。何円?」


「別にこれくらい、いいよ~」



俺は知っている。お金の未払いは倍になって帰ってくることを。だから頑なに払おうとする俺にギャルは「じゃあ、スタンピードで何回もあーしを救ってくれたお礼っていうことで」と言う。



「パーティーじゃなくて一緒に行動してただけなのにあーし達に回復魔法とか使ってくれたじゃん。あれ、結構助かってたんだよね」



俺は、「あたりまえ」と言おうとしたがパーティーメンバーでもない相手を手助けするのはあまりないことだと認識し、ギャルのお言葉にあまえとく。



「お、お話終わりましたか?」


「うん。終わった~」


「では、研究所あ、案内します。こ、ここから研究所は電車など使って15分くらいのところにありますので…」



ん?なんか忘れているような気がするけどなんだけっ?


まぁ、そのうち思い出すだろうと俺は前髪の研究所に向かう。



________________




ライアンたちが後にしたハンター協会ではハンターたちが集まり、黒い鎖で拘束されている黒い神官服を着た人たちを見る。



「いつになったらこの魔法解けるんだ?」


「しらねーよ」


「まぁ、あの狂信者たちもあれで少しは大人しくなればいいな」




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