第46話 霊犬仙霊

卯月は、桃虹リンガンを支えて桃虹銀河を見つめていました。


その間、年月天は卯月の衣の裾をつかんでいました。

すると、卯月は突然何かを思いついたようで、手を伸ばして小さな傘を作り、年月天に手渡しました。


年月天は衣の裾を離して、小さな手で傘を受け取り、丁寧に手の中で見つめました。

その傘にはたくさんの小さな桜が描かれており、よく見るといくつかの花びらが散りばめられていました。


「これは、あなたの母、年沁が殘した傘です」と卯月は年月天を見つめながら、愛情に満ちた目で微笑みました。


年月天は言葉を聞いて傘を開いてみると、桃虹銀河の光に照らされて、傘はさらに美しく見えました。


そばでは、小萌と2匹の霊犬が楽しそうに遊んでいました。

彼らは追いかけっこをしたり、騒ぎ立てたりしていました。


年月天は彼らを見つめながら、なぜ睦月、如月、彌生の仙霊門生と卯月が違うのか考えました。

卯月だけが霊獣なのはなぜだろうと、ちょっとした疑問が年月天の頭の中で渦巻いていました。

そして、年月天はついに口を開きました。


卯月は年月天の質問に聞きながら、年月天を見つめて微笑んでゆっくりと話し始めました。


「彼らは、私がある御師と一緒に桜の木の下で出會ったものなの。

出會った時、彼らは桜の木の下で男性を守っていたの。

そこで彼らがなぜずっと離れようとしないのか、私は気になっていました。その理由を知った後、私は彼らを連れ帰り、霊術を教えることに決めました。

彼らの素質もなかなか良かったからです」と卯月は過去を回想しながら話しました。


「それはどんな理由なの?」と年月天は子供らしい好奇心で目を輝かせながら尋ねました。


卯月は彼らを見つめながら答えました。

彼らは子犬の頃は野良犬で、たくさんの子供や人にいじめられていました。しかし、ある善心の人に出會ったのです。

彼こそが彼らの主人です。彼らが攻撃を受けた時、彼は偶然それを目撃し、彼らの前に立ちはだかり、いじめている人々を追い払いました。

彼らを家に連れ帰った後、彼は丁寧に世話をし、彼らに言ったそうです。「この世界は悪意に満ちているかもしれないけれど、生きる力を諦めないで、頑張れば素敵な人や出來事、物に出會うことができるよ」と。

彼の優しさと溫かい笑顔は、今でも彼らの心の中で忘れることはできないと言いました。


年月天は2匹の霊犬と小萌を見つめました。

「小萌はとても幸せだね」と言いました。


年月天は子供らしい口調で、まるで大人のようですね、と卯月に笑われました。

「あなたも母親の年沁と同じくらい可愛いよ」と卯月は言いました。


「本當に私は母親と多くの共通點があるのかな?」と年月天は思いを口にしました。


「多くの共通點があるよ。

神秘的な雰囲気、気品、感じ、そして善意と溫かさに満ちた思考、人々を幸せにするための理念...などなど、たくさん似ているよ」と卯月は年月天の潛在意識の思いを読み取りながら、年月天を抱きしめました。


この時の卯月の表情は幸せそうではなく、少し悲しく、靜かに涙を流していました。

卯月は普段泣かないのに、悲しみが押し寄せてきたのです。

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