第34話 溫かい心
彌生は十二月の天であり、月天神尊の中で最も感性的で、思いやりのある存在です。
彼は愛哭神として知られており、よく葉月にからかわれます。
「12月の天の中で、泣くのが一番好きなのはお前だ」と葉月によくからかわれますが、実際には葉月と彌生の関係は非常に良好です。
葉月はケシの花が好きで、彌生はオレンジ色の朱槿の花が好きです。
一つは華麗を象徴し、もう一つは思いやりを象徴していますが、二人の月天は互いに補完的な存在です。
彌生は手を伸ばして小萌を優しく撫で、口につぶやきます。
「小萌、お利口さん、小萌...お利口さん」と可愛らしい少年の様子で、彌生が橘煖銀河を統べる存在だとは信じがたいです。
橘煖銀河の光に照らされながら、彌生が小萌を撫でる様子は特に溫かく、癒しの感覚が溢れ、人々の憧れとなります。
その光景は小さな年月天の心を溫かく満たします。
「彌生兄貴、ここの術は何ですか?」年月天は彌生を見上げ、好奇心いっぱいに尋ねます。
この時、彌生は空中に花を幻化させます。
「これは朱槿の花です。橘煖銀河では橘煖花とも呼ばれています」と彌生は朱槿を見つめながら、年月天に向かって陽光のような暖かさを込めた微笑みで説明します。
年月天は彌生の手に持つ花を見て、本當に美しいと思います。
溫かさに満ちた朱槿に心が癒されます。
「彌生の術は大地や世界に、色彩豊かな溫かさを満たす術、開花の術です」と彌生は朱槿を振りながら説明し、周囲の花や草木が一気に増えて、溫かいオレンジ色の橘煖花、朱槿に包まれます。
年月天は周囲に広がる花々を見つめながら、この感覚は本當に幸福で、素晴らしいと感じます。
彼は自分自身が今とても幸せだと思います。
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