霧深き領域を超えて(旧)
バンリ
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メモリー1 機人アイゼンとは
アイゼンは人型自律兵器、
第一世代の特徴としては、
まず一つ目、古代文明の定めた基準においてエーテルへの適合値が高い人間が素体として選ばれていた事。
二つ目に、機械的な要素が外見上分かり易いという物があり、それは第一世代機人それぞれで差異がある。
アイゼンの場合、両目が高性能な軍用義眼へと替えられている。
二つ目の特徴に関しては、第二世代から外見上で普通の人間と大差ないモノとなる。
第一世代の機人が作り出された当時、文明は他国との戦争の最中であった。
戦況の打破の為に、最新エネルギーであるエーテルを用いた新兵器として、革新的かつ急造ともいえる形で作り出される事となったのだ。
素体として選ばれたのは、そのほとんどが年端もいかない、もしくは成人も迎えていないような子供達だ。
エーテルとの親和性が最も高い年代であった為に、幾多の少年少女等は半強制的ともいえる徴兵の果てに、その身を戦いの道具へと作り変える事となる。
アイゼンは、元々気の弱い少女であった。
髪も赤くない、両親と同じ黒味の強い茶髪であり、視力も弱かった為、常に眼鏡を掛けて過ごしている。
家で本を読む事を好むような内気な性格な少女であった。
何不自由のない生活だった、家族との関係も良好であった。
愛し愛された、ありふれた家族だった。
だが、そんな彼女の下に徴兵令が来た。
高いエーテルとの適合値、故に彼女は選ばれたのだと言われた。
両親は反対した。当然だ。
彼女は虫も殺せないような優しい子なのだと、そんな子が戦争なんかに関わるのは間違っていると
だが、両親の意志と少女の意志はズレていた。
少女は両親の役に立ちたかった、自慢になりたかった。
家に籠もってばかりで、友達も作れないような内気な娘なんて、きっと両親も頭を抱えているのだと思った。
戦争は怖いものだ。
少女もそれは知識として、良く知っている。
だけどこれは国の為になる事だ、それはとても名誉な事だ。
徴兵令の際に赴いた男が言った。
君には戦う力があると、きっと父と母も君が変われば喜ぶ筈だと
その甘言が、少女を選択させたのだ。
少女は頷き、かくしてその身を機人へと変えた。
悲しんだ、引き止め続けた両親の姿を背にして、彼女は国の矛となったのだ。
少女は、文字通り生まれ変わった。何もかも。
義眼となった黒目と赤い瞳の双眼はあらゆるものを見渡せた。
炎を司るエーテルエンジンを組み込まれた彼女はその身を炎に包み、茶髪だった髪も赤へと染め上げた。
小さな少女はその身体を十代後半までのものへと成長させた。
より戦いに合わせ、剣を振るえるように、敵を効率よく殺せるように
そして最後は、彼女本来の人格が消された。
家族との記憶諸共、彼女の人格を形成していたありとあらゆる情報が全てまっさらだ。
そして新しい自分自身を、アイゼンという名と共に渡された。
彼女は生まれ変わったのだ。
最早人間の名残など何もない、機人になると決めた決意も理由も何もかもを、忘れさせられたまま
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