肉の壁
目が醒めると、あたり一面に肉の壁がひたすら続く悪夢のような世界に転移していた。
「なんじゃこりゃ……。●耶の唄かよ」
自分自身の正気を疑いつつ周囲を見回すと、生肉を身にまとった女の子がこちらへやってきた。
「こんにちは」
「ぎゃーーーー!」
俺は全力で逃げた。
「そんな……、こんな可愛い女の子を見て逃げるなんて、ひどいですよ!」
「いや、そういう問題じゃないでしょ」
俺はどう見てもレディ・ガガの奇抜なドレスみたいな服を着たその女の子をもう一度見た。確かに服装はおかしいが、顔は普通の人間だった。
「すみませんが、この世界は何なんですか?」
「ここは平和なお肉の国ですよ」
あちこちに血走った目やギザギザの歯が浮き出した肉の壁の前で、彼女はニッコリと笑った。
「平和な、って……、なんかデッ●スペースさながらの光景が繰り広げられてるんですけど。この時々ピクピク動いてる肉の塊は何なんですか?」
「あ、これですか? これは畑です」
「はたけ?」
あまりに意味不明な返答に俺の脳が一瞬フリーズした。
それもそのはず。
「こうやってもぎ取って食べるんです。おいしいですよ?」
彼女はそう言って平然と壁の一部をもぎ取ると、むしゃむしゃと食べ始めた。
「ぎゃーーーーーーー!」
今度こそ俺は失神した。
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