グッバイ宣言

三月みどり/MF文庫J編集部

○プロローグ



 将来の夢は?


 こうかれた時、すぐに答えられる人はどれくらいいるだろう。

 もし回答者が幼稚園児や小学生なら、全員が即答できるかもしれない。

 なぜなら、彼ら彼女らは希望に満ちあふれているからだ。

 子供はなんにでもなれるとかどこかの誰かが言っていたけど、本当にその通りだと思う。

 僕も小さい頃は「プロサッカー選手になりたい」とかよく言っていた。

 リフティングの一回すらもできやしないのに。

 でも、年を重ねていくにつれて段々とわかってくるんだ。

 夢なんて持っても、ほとんどの人はかなえられないって。

 実際、高校生の僕が今からどれだけ頑張ったとしても、絶対にプロサッカー選手にはなれないだろう。

 そして、徐々に気が付いてくる。

 たぶん僕はこのまま何となく大学に進学して、一般企業のサラリーマンになって、好きな人ができて、運が良ければ付き合って、結婚して、子供作って……みたいな普通の人生を送るのかなって。

 先に言っておくけど、普通の人生が嫌なわけじゃない。

 むしろ、普通の人生を送れたら十分幸せだと思っていたし、よっぽどのことがない限り、そういう人生かられることはないだろうと思っていた。


 しかし、高校最後の春。

 やることなすことちやちやでとても普通とは言えない彼女に出会ったことで、僕の人生は大きく変わってしまったんだ──。

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