煙草

確か、雨の強い日だった


きみの香りに誘われて、ベランダに出た


大学の友人たちと宅飲み、中は騒がしい


雨と土のまじったにおい、きみの煙草のにおい


火照ったからだには心地よかった


「吸ってみる?」 


そこから、よく一緒に煙草を吸った


授業やバイトや彼氏の愚痴や、


楽しかった




いつの間にか、君は煙草をやめていた


「彼氏がさ、女なのにみっともないってさ…」


弱い僕は、ごまかすように煙草に火を点けた


そうして、過ぎていった


「そろそろいくね、じゃあね、ばいばい、


…最後に、あんまり吸いすぎないでね」


きみのせいだよ、

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