虫たちを詠む

広瀬涼太

法師蝉 惑う季節に 声もなし

法師蝉ほうしぜみ まどう季節に 声もなし



 季語は法師蝉、季節は秋。

 テーマとなる虫は、ツクツクボウシ(半翅目セミ科)。


 法師蝉はツクツクボウシの別名。

 筆者としては、夏の終わりを告げる虫という印象がある。実際には鳴き声のピークは9月に入ってからなので、秋の季語として問題はないだろう。


 今年、2023年の夏は、観測史上最も暑かったといわれた。

 真夏のような暑さが9月いっぱい続き、虫の動きも鈍いように感じられることもあった。


 ツクツクボウシも、何やら例年に比べ少ないような気がした。まだ9月中旬なのに、声が聞こえない場所もあった。

 ただ場所により、10月上旬にも少ないながら鳴いている場所はある。


 暑さのせいで蚊が少ないという話は聞いたが、セミたちも影響があったりするのだろうか。

 ただ、今年が少なかったというだけで、猛暑の影響だとか、絶滅の序曲だとかいうのは早計だろう。

 来年以降も、彼らの様子を見極める必要がある。


 願わくば、来年はもう少し過ごしやすく、そしてツクツクボウシの声も普通に聞こえる、そんな秋になって欲しいものである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る