復活ライブー5

 「念の為」と言って、2回聴いた。

情けない!


あの頃なら、誰かが冒頭部分を演り出せば、すぐにできたのに。

それ程、私たちは一緒にいたんだ。


今は、毎日会えない分、それぞれの社会に馴染もうとしている2人が愛おしい。



 この曲は、私の単純なピアノリフから始まる。その後、ギターとドラムが少し抑え気味で入って来る。そこで、私もベースで参加。


あの頃は、ここで揉めた。

私が、ギターのあそこのギュイーンはいらん、ドラムは半分に控えてよと言って、怒らせた。


レイちゃん曰く俺たちらしさがなくなる。

結局、歩み寄る形で収まる。



今の私たちは、この曲をどう演るのか?


1回目、そこそこ!

でも、レイちゃんのドラムは音多すぎ。

ショウくんはボーカルも取らないといけないからか、ギターは控えめ過ぎ。

なので、私のベースが頑張ってしまう。ピアノのリフも所々で入れないといけないのに。


2回目、まあまあいい感じ!


「なんか、私たちコーラス上手くなってない?」

「しばらく叫んでないから、声が出るようになったのかもな」



 そこに、ルーがケイトを連れて、満を持したように入ってきた。


この曲は、ルーにとっても思い入れのある曲だろう。最後のロンドンのライブで、ルーがピアノとボーカルを演ってくれた。


 ショウくんの控えめになってしまうギターに剛を煮やしたレイちゃんが言う。


「ルー、歌ってみる?」

「ショウ、本気出して演れよ!」


 3回目、いい感じ!

ピアノは、ルーに任せる。

ショウくんのギターがいい感じで歪んでる。




さすが、私の子だ。

ケイトは、こんな爆音の中でも、嫌がるどころかピョンピョン跳ねて踊っている。



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