姉妹の秘密ー10

 母の事件以来、姉とは距離が縮まったとはいえ、不可解で得体が知れないのには変わりはない。


買い物もろくにできない。

お金はポケットに全財産突っ込んである。

ケイトや自分の服のサイズも知らない。

もちろん料理もできない。

移動はすべてタクシー。


「八木さん、ずいぶん甘やかしましたね?」

と言うと


「すみません!ご迷惑おかけします」



だいたい、自分がどれだけお金を持っているのかも知らない。



時々英語で喋り出す。

八木さんやレイちゃんとすら。

彼らも、それに英語で返す。



外出の時は必ずサングラス。

でも、これはある意味正解かもしれない。

店員さんや話しかけてきた人を、上目遣いで睨む。


喋り方もそうだ。

私達や身近な人と話す時は、高めのハスキー猫撫で声なのに、初対面の人とは、あからさまに低めのダミ声だ。


はあ!

やっぱり、私、この姉とうまくやっていけるのかな?



 でも、感心しちゃうのはケイトに対する態度。


ちゃんとママだ。


決して怒らないし、

かと言って、わがままだけを聞くこともない。

ケイトに対して、凄く時間をかけて接する。


一度見せてもらった英語で書かれたナニーさんからの15枚にものぼるお手紙。

その教えを、臨機応変に、でも守ろうとしている。

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