母と娘ー8

 ベビーシッターの会社から、ナニーを紹介された。

住み込みで全ての面倒をみてくれる。


 数日スタジオハウスで生活をした後、彼女が下した決断は、ケイトを私から引き離すことだった。


過酷な練習による疲労、

貧血を起こして倒れる、

時には塞ぎ込み

時には興奮して大声を出す

安定しない精神状態、

神経が研ぎ澄まされていて眠れない、

ケイトとの時間が減っていくことへの苛立ち、

反面ケイトを抱きしめたら、泣いても離さない程の依存。


 ベテランナニーのエリースは、

「あなたの為でもあるの」と言った。


エリースは、ケイトを自宅で面倒見てくれていた。

一日3回だけ会える。

朝昼夜の食事の時間に、1時間だけ連れてきてくれる。

泣きながらケイトを抱きしめて、泣きながら食事を共にし、泣きながら別れる。 

心が張り裂けそうな2ヶ月半だった。


 毎日眠れず、私は、精神安定剤と睡眠薬を処方されていた。

ボスや仲間達が、泣きながら眠る私に添い寝してくれたりしていた。


 最後のライブが終わった後、私は緊張の糸が切れたように倒れて、3日間入院してしまった。

退院してから日本に向けて逹つまで、エリースは私とケイトと生活して、色々と教えてくれた。


 別れ際、15枚にも及ぶケイトとの生活に必要な事柄を書いたレポートをくれた。


 もう二度と、あんな思いは嫌だ!

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