父と息子ー7
親父が病院に戻った翌日、ボスとカーリー親子がお見舞いに来てくれた。
カーリーは、また泣いた。
「泣くなよ!」
「子供ができてから、涙もろくなったんだよ!」
と、鼻をぶーんとかんだ。
母はケイトに夢中だ。
話題のほとんどは、タブレットの写真だ。
カーリーは、少し伏せ目がちだ。
「お前も、まだ見るの辛いか?」と聞かれ、
「わかんない。
どうしてかわからないけど、なんか見るのが怖い」
「頭が真っ白で、何も考えられない」
「でも、時々爆音が頭の中で一瞬鳴ることがある」
全く同じ症状だ。
そんな中、父がアルバムを出してきた。
バンドを始めた頃の写真。
中学生、高校生の頃の写真。
家の敷地内の、昔祖父母が住んでいた家を改装して作った練習場の写真。
小さなライブハウスでのライブの写真など。
もうすっかり忘れていた頃の写真だ。
懐かしさというより、初めて見た感覚に近かった。
ボスが、見た事ない頃の写真だと、嬉しそうにしている。
「令が、バンドやりたいと言ってメンバーを何人か連れてきたこと。
中2になって、ショウを連れてきて、今まで連れてきた子達とレベルが違うなと思ったこと。
しばらく後に、キーボードをやらせると言ってカーリーを連れてきたこと。
昨日のことのように覚えてるよ」
と父が言った。
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