14.俺は、この手で革命を5

俺とミレイアは、家具や生活必需品を作ることにした。

リーネは、邸ができたのを見ると驚き疲れて帰ってしまった。

家具も一般的な物ではなく、魔導具を作る予定だ。

俺は、まずは玄関から作ることにする。

先程、【建築】で形は出来ている玄関の扉を魔導具化していく。

特定の道具を持っていないと開かない作りにしようかと思う。

実は、建材を集めてもらっている期間に俺達も色々買い集めていた。

魔方陣を構成して、【魔導具作成】を行う。

玄関のドアとポーチに入れていた10cmほどの長方形の金属の板数枚を魔導具化した。

この板が鍵になる。

鍵は、個人認証できるようにしよう。

他の人間には使用できないようにしなきゃ。


「わぁー、凄いわね」


俺は、その声に振り返る。

そこには、母上がリサを伴って邸を見上げていた。


「母上!?どうしてこちらに?」

「いえね、この子が光ったと思ったら建物が出来上がったなんて言うから急いできてみたのよ」


俺は、リサの顔を見る。

すごい勢いで首肯する彼女。

ふむ、囲いは作るべきだったか。


「先程、アビリティで作り出したんです・・・あ、そうです。

この玄関開けてみて貰えますか?」

「いいの?わぁ、新築のお家入るの初めてよ」


母上の精神年齢が少女ばりになっているような気がする。

まあ、貴族女性など抑圧された世界にいれば真新しいものなど少ないだろうしな。

俺は、母上に首肯をする。

彼女は、玄関のドアノブに手を掛ける。


「あら?開かないわ」

「ありがとうございます、母上。

テスト出来て助かりました。

では、このカードキーを持って開けてみてください」


俺は、母上にカードキーを手渡す。

そして、彼女は再びドアノブに手を掛ける。

今度は、すんなり扉が開く。

成功したようだ。


「じゃあ、このカードキーをリサにも渡しておくよ」

「私もよろしいのですか?」

「リサには、これからもお世話になりそうな気がするからね」


未来での彼女を知っているからこそこれからも関係は続くような気がする。

でも、妹とも仲が良かったからどうなるかは不明だが。


「ありがとうございます、レイン様。

誠心誠意務めさせていただきます」

「期待しているよ」

「あらあら、リサはうちの使用人なのよ。レインちゃん」


クスクスと笑う母上。

まあ、その笑みはとても優しく見えた。

そうしていると、奥からミレイアがやってきた。


「お義母様!?いらっしゃいませ」

「ミレイアちゃん、こんにちは。立派なお家が出来ましたね」

「はい、レイン様と2人で頑張って【建築】しました。

あっ、今し方キッチンが出来上がったので宜しければ」


ミレイアは、そう言ってキッチンを案内してくれる。

玄関を入ると大きな吹き抜けのロビーがある。

正面両サイドには2階に上がる階段があった。

正面には大きな扉がある。

ここは、食堂…ダイニングに続いている。

左側の階段下には扉の無い部屋がある。

そこが、キッチンだ。

ミレイアの背中に続いて、キッチンへと入る。

奥長な作りである。

アイランド状の作業台が中央にあり、壁沿いにはコンロが4つ取り付けられている。

奥には、煉瓦造りの窯まで設置されていた。


「とても綺麗なキッチンです。

あら?このコンロ…」

「そのコンロは、火が出ないコンロで熱を発生させるので火事の心配がないの」


リサが、コンロに食い付いていた。

火を使わないコンロか。

確かに、安全だな。

そういえば、建物自体にも色々仕込んである。

【耐性】【自己修復】【反射】など様々。

防犯と災害に強くしてある。

万が一内部で火の手が上がってもすぐに消化もされる。

今回も、【毒】関連の魔導も備えてある。


「あら、水周りも変わった作りね」

「はい、お義母様。

水温を調整して、氷水から熱湯まで出せるようにしています」

「まあまあ、凄いわね」


水道には、青から赤の色の着いたダイヤルが取り付けられていた。

なるほど、これで調整するのか。

俺は、キッチンをさらに見渡す。

巨大な横長な箱のようなものがある。

俺は、それに近づく。

箱には、両内開きの扉が2対ずつ取り付けられている。


「ミレイア、これは?」

「レイン様、それは左側が冷蔵保存出来る保管庫で、右側が冷凍保存出来る保管庫です。

どちらも内部容量拡張と時間停止を付与してあります」


見た目よりもたくさんはいるのか。

これは凄いなぁ。


「2人共、凄いキッチンね。

至る所に最新…うーん、超先端の魔導具技術が使われていて…うちにも欲しいわ」

「可能な限り設置するよ」

「嬉しいわ。それにしても、使用人も雇わないといけないわね。

うちからもそんなには出せないし、先日の件とこの先のことを考えると奴隷を買い求めるのがいいかしら」


奴隷か。確かに、秘密を保持するにはその方がいい気がする。

かなりの人数が必要になるな。

領地側にも必要だし。


「それもいいかもしれませんね。

リサは貸出して貰えるんですか?」

「仕方ないわね。リサには、準公爵家で奴隷達に教育を任せるわ」

「奥様、畏まりました。

では、レイン様…若旦那様。ミレイア様は、若奥様とお呼び致します」

「よろしくお願いしますね、リサ」


こうして、リサが準公爵家付きになった。

後は、他の使用人か。

おっと、その前に内装を完成させよう。


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次回、奴隷商へ


IHコンロを登場させてみました。

冷温水蛇口、ピザ窯、業務用冷蔵庫・冷凍庫と

かなり、技術革新しました。

領地で行う事の前哨です。

今回は邸レベルでした。

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