10.俺は、この手で革命を2

次に赴いたのは、商業ギルドだった。

受付で父上からの推薦状を見せるとすぐに会員証の作成が行われ、別室に案内された。

ミレイアも魔導具ギルド・商業ギルド共に会員登録をした。

彼女もまた魔導具開発をするかもしれないからだ。

商業ギルドに関しては、どうかは分からないがあっても困らないだろう。


「あ、忘れていた。商会作るべきかな?」

「はい、あった方がいいと思います」

「そうだよな、商会名を考えなきゃな」


商会名・・・商会名。うーん。

だめだ、うまく思いつかないな。

こればかりは、前世ではない物だからな。


「ミレイアなにかないかなぁ」

「ローレライなんてどうですか?」

「ローレライ・・・確か、岩の精霊だったかな?」

「はい、サイレンの一種らしいです」

「サイレンか・・・よし、ローレライ商会。それで行ってみよう」


とりあえず、ミレイアの意見を取り入れることにした。

しばらくすると、ドアがノックされ狸のような見た目の男性が入ってきた。

彼は、小さな声で何かを言っているのを俺は感じ取った。


「クロフォード準公爵様、クロフォード準公爵夫人様。大変お待たせしました。私、当商業ギルド「すまない、どうやら話す価値はなさそうなのでこれで失礼するよ」」


俺は、男性の話を遮り退室することにした。

隣にいるミレイアにも俺の意図は伝わったらしく席を立った。

そして、俺達は部屋を出ることにした。

男性は、憤慨していたがそんなことを聞く気にはならなかった。

彼が呟いたことは、「ち、こんな子供の相手など」だった。

立派な不敬罪・・・商人としては信用のできない相手。

話をする価値がないことを理解した。

商業ギルドを出た俺達は、公爵王都邸へと戻ることにした。

ギルドを出るとクロフォード公爵家の馬車が駐車していたのでそれに乗って邸に戻る。

邸に着くとちょうど昼時と言ったところだったからか両親が揃っていたらしく、すぐに食堂へと誘われた。

俺達の分も用意をしてくれるようだ。


「お帰り。レイン、ミレイア」

「お帰りなさい。レインちゃん、ミレイアちゃん。午前は何をしてきたの?」

「魔導具ギルドと商業ギルドへ行ってきました。

魔導具ギルドは、かなり興味を持ってもらい神への奉納も済ませてきました。

商業ギルドは・・・ダメですね」


俺の話に2人は耳を傾けていた。

やがて、話をしていると料理が運ばれてきたのでミレイアと共に席に着く。

すると、右手の人差し指に嵌めていた指輪が静かに鳴動した。


「ミレイア、これ渡すの忘れてたよ」


俺は、彼女に指輪を渡した。

ミレイアは、驚きながら左手の薬指に指輪を嵌めた。

それと同時に、指輪が静かに鳴動する。


「公爵閣下!」


俺がそう声を掛けると父上は首を縦に振る。

それと共に、料理に含まれた毒の経路へと赤い紐のような物が伸びていく。

これは、【毒】【探知】【関連】【連鎖】【拘束】【追跡】などで構築したアビリティ【罪人の捕縛】である。

そうして、捕まった者は王都中で貴族・商人を含む30人ほどになった。

その中には、商業ギルドで出会った男性も含まれていたと言う。


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次回、準公爵邸のお話に

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