第154話

夜魅はボクシングのでもやっていたのだろうか?

ステップを踏みながら軽くジャンプするようにしながら拳を軽く振りこちらに見せつけるようにシャドウを始めた。

直ぐに準備が出来ましたとでも言うように人差し指で来い来いのような仕草でクイクイっと指を動かした。

戦法的にヒットアンドウェーと言うのだろうか?

軽いパンチをこちらに繰り出したかと思うと離れまた近寄って来てパンチを繰り出すと言った動きをする。

俺は様子見と言った感じにその動きを目で追いながら全ての夜魅のパンチを掌で受け止める。



「流石はアサシン」

「アサシン言うなし!」



正直不本意である。

「アサシン」って何だよと言いたい。

陣がお遊びで付けたリングネーム的な物が独り歩きして今は普通にアサシンと呼ばれるが、俺ってこっちの世界に戻ってから人っ子一人殺してないのですが?

噂という物は恐ろしいもので、独り歩きして尾鰭が付いたかと思えば羽が生えて大空の彼方へと飛躍していく。

陣や亮二が揶揄うように俺の噂を言って来ることがあるが、10人位殺しているなどと言う噂まで流れている始末。

俺は何時からそんな危険な人物となったのだろうか?

勇者は暗殺者みたいなものだと思うが、勇者とアサシンは別物だぞ!

不良たちから一目置かれてはいるが、非常に不本意だ。

本当に手を出して欲しくない様な馬鹿・・・目の前の此奴のような存在は俺と敵対して来る。

不本意なあだ名を我慢しているのに必要な時には効力を発揮しない意味の無い護符だな。

それに、今考えても高校入ってこっち俺の事を付け狙う人間は池田に斐谷に此奴に・・・他には居ないよね?

毎日のように怨嗟の念を送られているが本当にもう居ないで欲しいものだ。

キャッキャウフフの学園ライフを俺満喫するんだ~ってなんかフラグ立ててないよね?

まぁフラグ立っても要らなければ物理的に叩き折ってやるさ。



「さっきから受けてばかりだな、うけけけけ~流石に精一杯か?」



何を勘違いしたのか余裕で受けていたのだけど攻撃しないので受けるので手一杯と考えたようだ。

まぁ実力差があるから出来ることだけどな。 



「じゃあ、1発行っとくな」

「はぁ?」



足払いをすると勢いよく夜魅は倒れたが何が起きたのか理解できないのか固まっているようで起きてこない。

足払いする前に待ち人の足音が聞こえたので少しだけ攻撃。



「茂武」



声する方を見ると天音がここにご到着の様だ。

目線で京の事を示すと、天音は頷いたので理解したようだから縛ってあるのを解いて助け出してくれるだろう。



「て、手前てめえ!今何をした!!」

「はぁ?普通に足払いだけど?」

「あ、足払いだと?見えなかったぞ!!」



あ~見えない程の実力差があること理解しろよと言いたいが、言っても意味はないような気がする。

ただ足を払っただけなので立ち上がるとまた直ぐステップを踏む夜魅は本当にただ倒しただけなのでダメージは無い様だ。



「俺がただ転んだだけだ!調子に乗るなよ」

「え?・・・」



調子に乗るも何も実力差あり過ぎて面倒くさくなって来たんだけど?

ため息をつくと「ふざけるな!!」と言ってステップしながら突っ込んでくる。



「何回目で認めるかな?」



また同じく足払いをすると勢いよく夜魅は倒れた。

10回繰り返すと壊れたのか大笑いして「うけけけけ~」と笑い始めた。

あ~もういいや、意識を刈り取ろうと思うと徐に胸ポケットより赤い液体が入った容器を取り出す。

あ~陣と亮二が言ってた物かBPとか言われているらしいけど原材料知ったら飲める物じゃないぞ?

海外で精力剤として渡される薬なんかよりもこっちの方が気持ち悪いのであるが使用者は知らないだろうな~

知ってたら飲むの勇気要るぞ。



「それ飲むなら待つけど、そんなものよく飲めるな?」

「はっ!これの凄さは実証済み!お前なんてこれ飲めば余裕なんだよ」

「そうか・・・早く飲めよ、時間も押してるし、帰って風呂入りたいし~」

「忠野!クソ、本当にムカつく奴だな!!」



ウルフエキスを飲み干した夜魅は直ぐに変化が表れて耳を生やすとパワーとスピードがUPした全能感的な感覚でも感じているのかまた気持ち悪い笑いで悦に入っている。

京が「耳可愛い」とか言っているが、天音が概要を説明しているようで京はその後に顔を歪めている。



「待たせたな!」

「お~待ったぞ、早く掛かって来い」



今度は俺が最初に夜魅がしたように人差し指をクイクイっと動かして挑発する。



「うけけけけ~余裕な態度も俺の動きみて」



言いかけで俺の方に先ほどより可成り速い速度で突っ込んで来た。

速度は速いが俺はチート持ちなんだよね~はい残念でした!

同じく足を払うと倒れそうになったが今度は何とか転ばなかったようで床に手を突き堪えたが俺を通り過ぎて行った。



「今度は転ばさせられなかったぜ!」

「さよか」



同じく、人差し指をクイクイっと動かして挑発する。

流石に今度は警戒して突っ込んで来ない。

しかし、少しづつ間合いを詰めて俺の方に近づいてくる。

どうやらヒットアンドウェーを止めて下手足べたあしで殴り合いに持ち込む戦法の様だ。

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