第78話
紗姫たちに今また神の依頼で悪魔と対峙していることを説明した。
2人とも相当驚いているがこれから紗姫にあのことを伝える。
「紗姫、実はな・・・」
「どうしたの?」
やはり言い淀んでしまう。
紗姫は不思議そうに「まだ何かあるのだろうか?」というハテナ顔である。
ここに来てもまだ言い淀む俺が居るのだが、自分が自分で情けない事である。
先ずは悪魔から狙われていることを伝えよう・・・
「実はな、紗姫は悪魔に狙われている」
「え?何で私なんか狙うの?」
「「なんか」とか卑下しなくてもいいぞ。紗姫には狙われるだけの価値があるんだ」
「価値?」
「神曰く、紗姫には悪魔が狙うだけの何か特殊な力があるらしい」
「そうなんだ・・・」
天音たちの方を見ると溜息を吐いている。
多分、男らしく早く一番の本題を言えとでも思っているのだろう。
俺もそう思っているので否定できない。
何時までも先延ばしも出来ないしもう言うしかない所まで来ている。
覚悟を決め紗姫に伝える事とした。
「それで既に紗姫は一度悪魔に狙われている」
「え・・・」
「すまん・・・実は悪魔は俺を狙っていて、その撒き添いを食った形で紗姫は悪魔に狙われた・・・」
「え?何時?」
「どうやら
「・・・」
紗姫はそれを聞くと固まってしまった。
相当ショックなのは理解できる。
全員がその場を動けず静寂が部屋を支配した。
だが紗姫に変化があった。
紗姫は何も言わず一筋の涙を流した。
俺は堪らず紗姫を抱き締めた。
すると紗姫は小さな声で囁いた。
「よかった」
「え?」
紗姫の顔を覗き込むと泣き笑いの顔で俺に質問して来た。
「茂武を裏切ったのは私の意思じゃなかったんだよね?」
「多分、悪魔の力によるものだと思う」
「ずっと思ってたの、何で茂武が好きで好きで堪らないのにあんなことをしてしまったんだろうって・・・」
「俺のせいですまない・・・」
紗姫は首を横に何回も降りながら俺に思いを伝えて来た。
「茂武のせいじゃないよ。だけど私、汚れちゃった事実は変わらないね」
「俺はそう思わないが、紗姫が汚れたと言うならそうなんだろう・・・」
静寂が部屋を包み込む。
誰一人として物音も立てず俺達2人の会話に注視している。
紗姫が絞り出すように答えた。
「そうだね・・・」
「俺が綺麗にその汚れを落としてやるから」
「え?でも・・・」
紗姫は天音たちの方を見て俺に困った顔を見せる。
そう、紗姫だけではなく俺はここに居る全員の事が好きで好きで仕方がない。
誰か一人を選べと言われても今すぐ選ぶのは無理だ。
「紗姫にもしこの件で復縁を迫られたら伝えようと思っていた言葉があるんだ。紗姫が復縁を望んでいないのは見ていて解ったが聞いて欲しい」
「うん、いいよ」
「俺は多分ここに居る全員を同じ位好きなのだと思う」
「そうだろうね・・・」
「本当に優柔不断ですまん。今直ぐ一人を選べと言われても選べない。俺の勝手な都合ですまないが、俺が決めるまで待ってて欲しい」
「うん」
「勿論、こんな俺に愛想尽かして別の誰かの好きになるのも仕方ないと思うしそうなっても祝福するよ」
「・・・」
「でももし待って」
「いいよ」
「え?」
「茂武が決めるまで何時までも待ち続けるから、ゆっくりでもいいからね」
紗姫はあの事件以降見たことのない程の満面の笑みで俺にそう告げた。
紗姫を再度抱き締めようとした瞬間。
「紗姫~!!良かったね~~!!!」
清美が感極まった感じで紗姫に飛び掛かり抱き締めている。
紗姫も「清美ありがと」と言って2人だけの世界へと旅立っている。
手を広げた状態で固まっている俺の方に残る3人が近付き、「「「ドンマイ!!」」」と息のあった声で俺に告げた。
待っていると抱き合っていた2人が現実世界へ帰還されたようで、恥ずかしそうに俺達の方を見ている。
続きがあるので少し休憩を入れてから再度話すこととして少しお茶を楽しみつつ、女性陣は先ほどの件を紗姫と話している。
天音も中学時代の事について謝罪したが「天音が謝ることではない」と紗姫はきっぱりと言っていた。
そんな紗姫を見ているとやっぱり中学時代より強くなって良い方に変わったことが嬉しくもあり寂しくもありであった。
ふとそんなやり取りを見ていると、「「綺麗にその汚れを落としてやる」って何をする気かな?」と智が良い笑顔で聞いて来るが黙秘権を行使してだんまりを決め込んでいる。
それを見て先ほどの事を思い出した様で紗姫が真っ赤に色付いている。
場が大分落ち着いたので話を進めることとした。
次は清美の件である。
「清美は俺達の近くに居ることが多いから巻き込まれる可能性が高い」
「そうなんだ・・・」
「だから」
「茂武が守ってくれるんだよね?」
「勿論だ」
「そう、じゃあ勇者様に守ってもらわないとね」
「元だけどな」
清美も来た時と違い元気を取り戻しているが、どうやらここ数日は心配で寝れなかったようで体調的には余り良さそうに見えないので何とかしたいと思っているとふと妙案が浮かんだ。
「天音、お願いがあるんだけど」
「良いわよ」
「内容聞かなくても良いのか?」
「まぁ大体予想はつくし」
どうやら俺と天音はツーカーの仲の様である。
天音は「紗姫と清美の体調を気にしているんでしょ?」と聞いて来たので頷いた。
紗姫と清美には「絶対言うなよ」とお約束の文言を言ったが、本当に言われると困るのでフリじゃないからなと念の為に念押ししたが、2人ともキョトン顔でよく理解していない様である。
まだ魔法が使えるとか色々説明していない事があるので仕方ない事ではあるが・・・
★~~~~~~★
修正
「すまん・・・実は悪魔は俺を狙っていて、その撒き【沿い】を食った形で紗姫は悪魔に狙われた・・・」→【添い】
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