第68話

神は何時もの様に玄関より「お邪魔しました」と言って出て行った。

今日の手土産は美味しそうな高級和菓子で、それを残していった。

確かこれは京都のお店だったなと思いつつ封を切り食べたが、名店の和菓子マジ美味いです。

神に感謝して美味しく頂きました。

妹が帰って来て目敏めざとくその和菓子を見つけ「美味い美味い」と言って両手に1つづつ持ち食べているが、1人4個までだぞ。

不満顔を見せるが人数割りするとそうなるので諦めろ。

仕方ないので1個だけ俺の分をあげることで妹を納得させた。


次の日、俺以外の元勇者PTメンバー天音・智・乙女を集め情報のすり合わせを行った。

先ずは悪魔ののろいが俺達には掛からないことと解除魔法が使えることと使い方を説明した。

智が、ふと思い付いたように呪文を唱えると手品の様に人差し指からライターの様に火が出た。

出力としては大したことは無い様だがこれがこの世界の誓約せいやくなのだろうと理解した。

手品程度の魔法が使えるようになったようで俺を含め皆驚いているが、ふと天音の方を見ると難しそうな顔をしている。



「如何した天音?」

「いや・・・これって若しかして聖女の回復魔法って使えるとか無いよね?」

「如何かな?試したら?」

「そうね・・・」



丁度俺の顔に少しニキビが出来ていたので試しに回復魔法で直せるか試して貰った。

え?普通は指を少し切ったりするんじゃないのかって?そんな治らなかったらただの怪我するだけじゃん!!

結果、ニキビは綺麗に治りました。

全員が驚愕でそれを見詰める。

智がポツリと漏らす。



「リアル聖女様爆誕?」

「「「・・・」」」



一同無言であるが、これって変な所に知れると本当に天音が聖女として祭り上げられそうで怖い。

全員で頷きこの事はトップシークレットとして秘中の秘とした。

しかし、怪我をした時の急場の切り札としては非常に有効である。

何処までの事が出来るかを試す必要はあるだろう。

勿論のこと出来るだけ隠すが、もしもの時は使うだろう。

その時の為にも一度実験は必要である。

どう実験をするか悩ましい事であるが全員が必要と認識していることは間違いない。

他にも色々出来るのではないかと考えられるが、今はそれよりも優先すべきことが幾つかあるのでそれを話し合う。


先ずは悪魔について、神から聞いた話を彼女たちに伝えると、俺と同じくチベスナ顔の人たちがこちらを見詰めている。

いや、俺は聞いただけだからな。

しかし、そんな中で乙女だけがなんだか嬉しそうな顔をしている。

言ってしまうと「オラ、ワクワクするぞ!!」顔だろうか?

これだから戦闘民族は恐ろしい。



「乙女は嬉しそうだな・・・」

「あ・・・そうだな、このシチュエーションは燃えるだろ?」

「それは戦闘民族だけだと思うぞ」

「う、まぁ何だ・・・ご先祖様は九尾と戦ったと言うし、元神と戦うとかご先祖様でも出来なかったことを私が出来ると思うとな・・・」

「乙女は家系的に本当に戦闘民族だったな」

「う、仕方なかろうが!!」



真っ赤になりながらも嬉しそうにしている乙女、内心では実に頼もしいと思った。

天音と智もその乙女の発言を聞き先ほどまでの何とも言えない顔で無くなったのは良い事である。


次にその悪魔があの世界の覇権を取り戻そうとして暗躍し神や天使を殺していることを伝える。

「それで手が足りない的な事を言っていたのか」と納得されたが彼女たちが驚かなかったことに俺は驚いたが、聞けば「元神と言う時点で何をやってても驚かない」と返された。

3人とも同じ意見の様で発言した智以外の2人も頷いている。

俺も言われて納得してしまった。


そして、最後に俺の「格」が上がったことを説明すると皆納得した様に頷くだけで特に気味悪がったりしていない。



「気味悪かったりしないか?」

「角か尻尾でも生えた?」

「いや・・・特に身体に変化は無いな」



何だか智らしい言い分ではあるが角と尻尾を聞いて来るのは可笑しくないか?

次は天音が聞いて来た。



「何か変わったことあるの?」

「う~ん、特に身体的な変化は自分では判らんが、内面的には前は難しいと思えたことが出来そうな感じはする」

「外見も少し変わってるけど気が付いていないみたいね?」

「変わってるか?」

「少しだけ・・・(ボソッ)カッコ良くなった」

「え?」



顔を真っ赤にして話した乙女の発言は「少しだけ」の後が声が小さくて聞こえなかった。

「聞こえなかった」と言うと天音からそっぽを向かれてしまい、仕方なく智と乙女を見ると、「鈍感」「そこを聞くなよ」と何故か俺が責められた、解せぬ。

少しだけ変わったが違和感はない様なのでもう聞くのは諦めた。

天音が再度話す。



「何が変わろうと茂武は茂武だよ」

「そうか」



凄く嬉しくてつい天音に見つめ合っていると智から茶々を入れられた。



「ほらほら今は雰囲気作らない」

「と~も~、良い雰囲気だったのに!!」

「そういうのは2人の時にしないとね!!」



ニカッと笑いながらそう言う智を見ていると2人で行った野外フェスの時のことを思いだした。

智とは手をつないだだけであるが、今何故かあの時のことが思い出された。(41話参照)

多分あの時に誰も居ない状況なら・・・

急に恥ずかしくなり耳が熱くなった。

「何を思い出したのかな?」と智が聞いて来るが、「お前の事だよ」とその場で言えず、「何でも無い」と答えたが彼女達には「素直に白状しようね」「言ってしまえ」「そこは言わないと」と言われた。

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