第31話

何故だろうか?何故、俺は倉庫の中に設置されたリングの上にに立ち、乙女たちに応援されながら対戦相手らしき者と対峙しているのだろうか?




他のチームに注意喚起する事が決まった後、蓮美さんに連れられて百鬼夜行の運営する賭け試合の会場へと向かった。

入口で百鬼夜行のメンバーらしき男に蓮美さんは「陣、居るか?」と声を掛けている。

その男も普通に「居ますよ」と普通に答えている。

蓮美さんが「乙女知ってるだろうけど、他の面子も私のダチだから」と言えばフリーパスでその検問所的な場所を超えれた。

そして、奥へ進んで行くと倉庫街の倉庫の1つに数人の男が立ちまた検問の様な事をしていた。

そこでも蓮美さんが「陣ここに居る?」と聞けば「中に居ますよ」と言ってフリーパス。

中に入るとプロレスの興行でも行われるようなリングがあり立ち見でリングを囲むように多くの人々が試合を観戦していた。

あ~これが百鬼夜行ひゃっきぎゃぎょう運営の賭け試合か。

少し離れた所に豪華なソファーセットが設置してあり、そこに数人の男が座ってリングの上の試合を観ている。

蓮美さんは当たり前の様にそちらへ歩いて行き、何処の商人ですかと言いたくなるようなノリで1人の男に話し掛けた。



「儲かってまっか~」

「ボチボチでんな~」

「そうかそうかそれは良かった」

「今日はどうした?」

「チョット話したいことあって寄らして貰った」

「で、そっちの連中は?」

「私のダチ」

「乙女、久しぶり。それで他のお歴々の自己紹介でもして頂きたいものですな~(ニヤッ)」



自己紹介をしていき、俺の番の時に蓮美さんが要らぬ一言を彼、百鬼夜行リーダーの百目鬼陣へと告げた。



「乙女より強いらしいぞ」

「ほ~それは、それは」



彼は乙女の方を見ると乙女は自慢げに頷く。

それから例の注意喚起ちゅういかんきを伝えた。

すると彼はとんでもないことを言い始めた。



「ああ、あの飴玉な、うちでも問題になっている。うちは賭け試合だから使う奴が出て来てもおかしくないだろ?」

「まぁそうだろうね~」

「ただ、今の処は使用についての制限を掛けていない」

「今の処はね・・・それで?」

「危ない物であれば使用禁止にするのも吝かではないが・・・そっちの忠野君だったかな?」

「茂武でいい」

「おう、そうか、茂武の実力を見たい」

「何故俺?」

「お前可成り強いだろ。俺の強者センサーがビンビンに反応してる!!」

「それで?・・・」

「先ずはそちらの実力を見た上で判断する。うちの方針は自分の意見を通したいなら力で示せだ!!」



「分かった試合すればいいんだな。その申し出受けた!!」と乙女が言った。

俺の試合なのに乙女が受けた。

天音を見ると溜息をした後、首を横に振って諦めろのジェスチャーをする。

智を見ると満面の笑みで親指を立てている。

蓮美さんは「それでこそ男だ」と言って背中をバシバシ叩く。

少し痛いので止めて欲しい。

ここでは俺の意思は尊重されないようだ・・・



そして冒頭に戻る・・・


対戦相手は今無敗で売り出し中の俺と同学年の男で、総合格闘技の使い手。

プロデビュー前の肩慣らしでこの賭け試合に参加しているとの有難くない情報をいただいた。

何が楽しくてプロ予備軍の格闘家とオープンフィンガーローブめて総合格闘技ルールと言う相手の土壌で戦わないといけないのか甚だ疑問である。

蓮美さん、「茂武殺れ!!相手は雑魚だ!!」と相手をあおるの止めて欲しい。

他のメンバーも美少女ぞろいで、俺を応援するので相手の選手が凄い形相で俺を見ている。

小声で「殺す、殺す」と言っているんですけど、ここは何時から殺しアムコロシアムとなったのだろうか?

観客の男どもも俺を見る目に殺意がこもっている。

手に握るは対戦相手に賭けた掛札ですね・・・

百目鬼どうめきを見るとニヤニヤと笑っているが、玩具屋さんで玩具を物色する子供の様に見える。

賭けの倍率10:1.5でこの掛場の最大倍率と最低倍率が付いている。

勿論、俺に掛ければ10倍の儲けなのだが、掛ける人間は極僅ごくわずか。

俺達はこのビッグウェーブ乗り所持金を全部俺に突っ込んでいる。



開始のゴングが鳴った。

対戦相手・・・名前を聞きそびれたことに今気が付いた。

金髪の坊主頭なので金坊とで名付けておこう。

金坊が突っ込んでタックルを決めようとしてきたが、俺は一瞬にして相手の背後に回り込む。

金坊は俺を見失ったようでキョロキョロと俺を探すが見つからない。

観客が「後ろだー」と叫んだのに呼応して金坊が後ろを振り向く。

俺は一瞬の金坊の隙を突いて顎先を掠めるパンチを放つと、金坊は白目を剥いて倒れてしまった。

Win俺、百目鬼どうめきが物凄く嬉しそうな顔で近づいて来て話し掛けて来た。



「いや~お前・・・茂武しげたけだったな、やるじゃないか!!」

「そりゃどうも・・・」

「約束通り悪魔の雫は使わない様、俺達は使用禁止とするよ」

「悪魔の雫?」

「何だ名前知らなかったのか?」

「ああ・・・」

「あの飴玉は悪魔の雫、通称DDと呼ばれている」

「あ~Devil's Dropデビルズドロップの頭文字?」

「らしいぞ、それでだ・・・俺と試合しないか?」

「しないよ」

「え~~ここは「じゃあ、やろう」て言うところじゃね?」

「何のメリットも無い」

「俺が喜ぶぞ」

「お前を喜ばせても誰得なんだよ」

「まぁ今回は諦めるか」

「次回も無いぞ」



百目鬼に凄く気に入られてしまった。

「俺の通う道場の師範代と同レベルだ」とか言っているが、俺ってこれでも勇者10%上乗せの上に、異世界でモンスターとしのぎを削り磨き上げた戦闘力持ちだよ?

それと同レベルのこと出来るってどんだけその人は凄いのか・・・

まぁ世の中は俺の知らないことだらけなので、化け物は何処にでも潜んでいるのであろう。

何だかんだと百目鬼とは凄く仲良くなった。

どうやら百目鬼は蓮美さんに惚れているらしいが、蓮美さんが恋愛にあまり興味を持っていないようで百目鬼の一方通行的な部分があるようだが、仲は良いらしい。

あともう1人同じような立場の人物がいるらしい。

蓮美さんは美人だから然もありなんだな。

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