第19話

次の日、GW三日目は乙女とお出掛け。





激しく2人は絡み合い、お互いの息が顔に掛るほど顔を近づけ激しい息遣いで見つめ合う。

そして、時には体を激しくぶつけ合い、お互いの目と目を見て言葉無く語り合っていた。








今、道場に来ている。

「え?デートで何故?」と思うだろう。

俺も思う、乙女は「久しぶりに剣で語り合おう」とか潤んだ目で言ってきた。

ああそうであった、彼女は生粋の戦闘狂バトルジャンキーなのだ。

そして今、乙女宅の道場で2人きりの状態、防具も付けないで木刀を握り向き合う。

放つ木刀の攻撃は一撃一撃が早く激しく木刀とは思えない「ドカ」とか「ガシッ」とか轟音ごうおんを響かせている。

鍔迫り合いでお互いの息が掛かるほど顔を近づけている。

異世界で切磋琢磨せっさたくました2人はお互いの動きを知っているので中々勝負は着かず長引いている為息遣いは荒くなってしまっている。

隙を作る為に体をぶつけることもあるが、隙を見せないためにお互いに目を放す事が出来ず睨み合い、目で牽制したりもしているのだ。



「鈍ってはいないみたいだな」

「そうだな~・・・」

「ん?如何した?」

「デートじゃなかったのか?」

「で・でででデート・・・」



真っ赤な顔で睨む乙女はプライスレスです。

まぁ乙女らしいと言えば乙女らしいが、俺的には普通のデートを期待していたのだが違うのかな?



「そうだ、この後デートしよう!!」

「今更な上、行き成りでノープランなんだな・・・」

「う・五月蠅うるさい・・・」



その後、マッスルコーヒーへ行くと一美先輩が、今日は「デートじゃなかったの?」と聞いてきた為ありのままに応えると、爆笑された。



「仕方ないわね~はいこれでもあげる」

「ありがとうございます」



見ると映画のチケットだった。

一美先輩の好意を無駄に出来ないので、乙女と映画を観に行った。

内容は、魔王を倒した勇者が元の世界に戻って来て活躍する話でチート全開のドタバタ劇であった。

立場的に俺と同じ立場である。

乙女の感想は、「茂武って戻って来てからの活躍が足りないね」だった。

普通ここは映画の感想ではないのか・・・

何故俺の異世界帰還後の行動を言われているか不明だが、俺的には平和が一番である。

確かに俺は戻って来てから活躍したかと聞かれると首を横に振るだろう。




次の日、GW4日目は智とのお出掛けである。

2人でカラオケに行こうと言う事で早速カラオケに来ているが、智がアニソンを熱唱している。

上手すぎる・・・天使の歌声と言われても信じる自信があるが、歌っているのがロボットアニメのテーマソング。

俺の歌声・・・そこは察してくれよ・・・

その後は近くのカフェでアニメ・漫画談義をした。

久しぶりに2人っきりなので推しアニメ・推し漫画の話題で久しぶりに盛り上がった。

アニメ・漫画の話のネタは尽きないが、ネタとして昨日の乙女との映画のことを話すと、「確かに茂武は活躍が足りない」と駄目出しをされてしまった。

何故映画の感想ではないのか・・・

この話題は今後封印することを俺は誓った。

智との一日はただただ楽しかったことは言っておこう。




次の日、GW5日目は紗姫とのお出掛け予定であったが、生憎の空模様で朝から雨。

話し合った結果、俺のお家でお家デートと言う事になった。

俺の部屋で2人何も語らず思い思いの事を楽しむ。

俺は漫画の本をベッドの脇に山積みしベッドに寝っ転がってそれを読む。

紗姫は俺の机に座り何の小説か分からないが読んでいる。

俺の部屋には本を捲る音だけがする静かな時間。

付き合う前からや付き合ってからもよく紗姫とはこういう時間を過ごすことは多かったなとふと思う。

お互いに肩ひじ張らずに過ごせる関係。

何だか遠い出来事に感じるが実際、こちらの世界で1年と異世界で20年と考えると本当に俺にとっては昔の出来事である。

そんなことを考えつつふと紗姫を見ると、丁度、紗姫もこちらを見て目が合った。



「そう言えば前はこうして過ごすこと多かったね」

「そうだな」

「1年程前の話なのにそれ以上にずっとずっと昔の事の様に感じちゃう。無くしてみて初めてこの時間が安らぎを与えてくれていたことを感じるの」

「そうか・・・俺も懐かしくて今安らぎを感じる」



当たり前の日常、無くしてみて気付くことは多い。

だけど・・・



「また築いていけば良いんじゃないか?」

「そうだね~ありがとう」

「おぅ・・・」



紗姫は本当に浮気とか二股するような性格の子ではなかった。

魔が差したと本人は言う。

本当にそれだけだろうか?と疑問を心の中で俺と違う俺が言う。

あの当時は本当に何も考えられなかった。

しかし、今冷静に考えられる俺の中に何とも言えない言語化出来ない違和感があるのは確かだ。

ただ、事実は動かない。

いまはただこの安らかで愛おしい時間を満喫しよう。




次の日、GW6日目は天音とのお出掛けである。

昨日の雨が嘘の様に雨は上がり空気が澄んでいる。

5月晴れの爽やかな朝だった。

GW初日は天音と過ごしたが彼氏役だったので今度はちゃんと2人でデートしようと言う事で、スタンダードなデートをすることとなった。

天音のリクエストで水族館へ行くこととなった。

天音とは駅で待ち合わせて電車を乗り継ぎ水族館へと向う。

ちなみに、本日の天音の装いはストライプ柄のワンピース、マジ天使。

何時もの様に天音を褒めたのは言うまでもない。

水族館ではイルカやアシカのショーを観たりして楽しみ、併設のカフェで昼食を取ってお喋りをした。

初音さんが「また連れてきなさいね」と言ってくれたらしいので、またそのうち天音宅に遊びに行く約束をした。



今までの人生で、1番充実したGWを俺は過ごした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る