第11話

夏休みも1週間経過したころ、天音から「話があるので今日家に行っても良いか」とメッセージが届いたので「いいぞ」と回答した。

天音だけではなく智も来訪してきたので出迎えた。

今日は妹は友達の家へ遊びに行っているので何時もの母へのご報告は無かった。

母が居たので玄関で一緒にお出迎えした時、「今日は天音ちゃんと智ちゃんだけなのね。本命を絞ったの?」と何故かワクワク顔で俺に聞いてくるので「今日は2人が話があるだけだ」と言ったら「あら~そうなの~全員と結婚でも良いのよ」と訳の分からないことを言いながら去っていった。

母上、日本の法律で重婚は許されておりません。

家に上がってもらい、俺の部屋で話すこととなった。


「それで、話って?」

乙女おとめさんと連絡取らないの?」



話に出て来た乙女さんとは異世界召喚された聖騎士様で、フルネーム【九尾狩くびかり 乙女おとめ】と言う。

物騒な名字だなと思うかもしれないが、乙女曰く、ご先祖様が九尾の狐狩りに参加して見事仕留めた際の一番槍となったことから「九尾狩くびかり」の名字を貰った由緒ある名字らしいが、本当かどうかは眉唾物まゆつばものらしい。

そういう由来があるらしい。

連絡を取らない取って来ないのは訳があるのだ。

実は彼女はここら一帯で結構な有名人である。

9Tailsナインテイルズ」 通称:9きゅうびと言うここらで一番有名なレディースチームを率いている。

現在、高校1年生で俺らの1個上の先輩だが、異世界で「先輩とか付けなくて良いです。下の名前呼びでお願いします。」と言って来たので俺は乙女と呼び捨てで、2人はさん付けで呼んでいる。

レディースを率いているが、チーマーとか不良に絡まれている女の子たちを見る度に助けていたら勝手に出来たチームで、乙女本人は仲良しグループ位の感覚らしい。

結成2年で喧嘩を売って来たここら一帯の不良たちをバッタバッタとぎ倒し付いたあだ名が「首刈乙女くびかりおとめ

異世界でも首を刈り取っていたので「首刈聖騎士」と呼ばれていた。

小さい頃から抜刀術を教えられた剣豪少女けんごうしょうじょなのである。

向こうは有名だからこそこちらに接触すると迷惑になるのではと配慮しているのであろう。

こっちは単純に忙しかっただけである。



「そうだな~夏休みで時間も取れるし連絡してみるか~」

「乙女さんと会うの楽しみ~」



智は特になついていたのでうれしそうにそう言った。

異世界でこちらの行き付けの場所を聞いていたので3人で行ってみることとした。




【マッスルコーヒー】



チーム9Tailsナインテイルズの溜まり場となっている。

俺たちが入店した時には乙女の姿は無かった。

とりあえず待ってみることとし、テーブルに座りメニューを持って来た店員を見る。

どうやらこの時間はまだお客が少ないからかマスターだけの様でそのマスターがメニューを渡して来た。



「お決まりになりましたらお知らせください」



このマスターには色々と言いたい。

190はあろうかという体躯たいくに筋肉質、スキンヘッドにサングラス。

どっかで殺し屋でもしていた過去でもあるのだろうか?

そして何故にサイドチェストボディビルのポーズを決めるのか・・・

智も何だかさとったような目をしている。



「あの・・・御吏ごり先生のお知り合いとかじゃないですよね?」



智が勇気を出して質問した。



御吏ごりちゃん?中学校で先生してる?」

「そうです」

「大学時代からの友人よ~」



姉口調ねえくちょうとか属性盛り過ぎでは?

実はここマッスルコーヒーはチーム9Tailsの溜まり場となったのはここ最近の話で、知る人ぞ知るボディービル愛好家が集うマッスルカフェでもあったのだ。

一番人気はマッスルパフェという美味しいが低カロリー高たんぱくの女性にもマッスル男子にも好評の逸品があるが閑話休題である。




マスターと話しているとお目当ての人物が入店してきた。


「あら~いらっしゃ~い」

「マスター何時もの」

「承り~」


マスターがカウンタへと戻っていくと俺たちのテーブルの空いてる席へと腰を落とし声を掛けてきた。


「みんな久しぶりだな」

「「「乙女(さん)お久しぶり(です)」」」



久しぶりに元勇者パーティーが勢揃せいぞろいした。


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★


私の名は九尾狩くびかり乙女おとめという。

私は数か月前に誰かに言っても信じて貰えない経験をした。

実質9年間異世界に行っていて戻って来た、所謂いわゆる、異世界帰還者である。

他にも3人居るが今は相手に迷惑を掛けない様、此方こちらから連絡を取らないことにしている。

必要なら向こうから来るだろうからそれまで待つこととした。



私が異世界へと行く事になった経緯けいいを思い出すと面白い存在と遭遇《》そうぐう(したことから始まる。

丁度何時もの様に早めに学校へ登校し、図書室で本を読んでいた。

ボッチという訳ではないが、誰も居ない図書室で好きな本を読むのは至上しじょうの時間である。

本に集中していると前方に不思議な気配が現れた。



「おはようでち」

「お・・・はようございます」

「今、お時間たただけまちゅでちか?」



そこには小学校低学年か幼稚園児位の幼女が女性のビジネス用の制服?を着て椅子に座っていた。

凄くかわいくてホッコリするが、その存在が高校の図書館に居るという違和感を感じる。



「はい、大丈夫ですよ」

「ありがとうごじぃまちゅ」



舌足らずで語尾とかが非常に愛くるしい。


「早速でちが、異世界にご興味あるでちゅか?」

「異世界ですか?」

「はいでち」

「興味はありますよ。本の題材にもよく使われますし」

「行ってみちゃいと思わないでちか?」

「行く?」

「はいでち」

「行けたら一度は行ってみたくはありますね~」

「行きちゃいでちか?」

「はい・・・」

「では行きまちゅでち」

「え?」

「あ・・・もうち遅れたでちわたちはこういう者でち」



可愛らしいピンクの名刺入れから名刺を取り出し私に笑いかけながら差し出してきた。

受け取り名刺を見ると






【天使】



大きな文字で真ん中にそう書いてある。

英語で「Angelてんし」とルビがふってある。

他は読めないが「ここが私の所属でち」と一生懸命指を伸ばし横の文字か記号か解らないものを指している。

説明を受け、条件を聞きいた。

既に先行して勇者が11年前に、聖女が1年前に召喚されているらしい。

追加召集らしく賢者が1日早く召喚され、次の日が私が聖騎士として召喚される予定だとのことである。

5~8年が平均討伐年数らしいが、何故まだ討伐されていないのか不思議でそんなに敵勢力が強いのか心配になり天使に聞くと、現地で勇者に聞くと良い的なことを言われた。

ただ単に冒険に没頭していたことと現地のお偉いさんたちの思惑でまだ討伐していないとのことだった。

勇者は容姿が26歳らしいが15歳で召喚されたので戻った時は1つ年下になるらしい。

聖女も賢者も私の1つ年下で勇者と同級生らしいが、彼だけ年上なので何だか面白かった。

一緒に戦ってみると息も全員ピッタリであった。

勇者が「これならカオスサークル行けそう」と言ったら聖女が青ざめて止めたが結局1年後に生き地獄を見た。

(※カオスサークル:異世界の地名です。9話参照)

たまに夢に見てうなされるが今はいい思い出なんだろうか?

聞いてみると、近くの中学とのことだったので戻ってから会う約束と同じ高校に通えたらいいねという話をした。

会う日が楽しみである。


★~~~~~~~~~~★

修正

現地で勇者に聞くと【言い】的なことを言われた。→【良い】

【まに】夢に見てうなされるが今はいい思い出なんだろうか?→【たまに】

勇者が「これならカオスサークル行けそう」と言ったら聖女が青ざめて止めたが結局1年後に【行き】地獄を見た。→【生き】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る