身の味

昆虫は痛みがわからないという

節ごとに生きているらしい

頭が無くなっても足が動いているから

そういうことだ


カマキリは腹が減ったから

目の前のものを食べる


たとえそれが自分の身であったとしても



あの光景が頭から離れない

自分の腕を

生きるために貪り食う姿

そのうち力尽きたけど

最期までまさか自分が死ぬとも思ってなさそう


それを見て私は羨ましいと思った

人間も

何も考えずに本能に従って

ただ生きていければいいのに


どうしても

私たちは身の味を知ることはできない

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