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たくさんの蝋燭が灯る下で、着飾った貴族たちは楽しく談笑をしているし、商人たちは自分のところの商品を売り込もうと熱心だ。
広間の端にはテーブルが並んでいて、その上には料理人が腕を振るった美味しそうな料理がいくつも湯気を立てている。
今は夜で外は暗くて、だからこそ大広間の輝きがいっそう際立つのかもしれない。
その中央でこれでもかと高笑いをし、ハイヒールのかかとをカツンと鳴らして存在感をアピールするのが、このわたしが演じる悪役令嬢サマだ!
本当のわたしはどこにでもいる普通の女の子。でも、今のわたしはモデルみたいな高身長にドレスをまとい、髪は絹糸のように白く輝いている。そして、ワケあって悪者の演技をしているの。
由緒正しい平民のわたしはちょっと気を抜くと背筋が曲がりそうになるので、これでもかとイヤミったらしい態度を崩さないように指の先まで意識を集中する。
だって、悪役令嬢サマはいつだって上から目線だし、いつだって自分が正義だと考えているし、いつだって自分が世界の中心にいると思っているんだから! たぶんね。
そもそも、いったいどうしてわたしが悪役令嬢になったのか。なぜ地球ではない別の世界にいるのか。それを説明するには、この身に起こったことを話さないといけない。
あれはそう、今から数日前のこと……
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