第25話 迫る決戦

西暦2032(令和14)年2月24日 日本国東京都市ヶ谷


「現在のガロア皇国の状況はどうだ?」


 防衛相市ヶ谷庁舎の地下、自衛隊作戦司令部において、統合幕僚長は尋ねる。


「はっ…ラーグでの戦闘を受けて、大陸東部に集結させている艦隊の規模を増強。ゾルシア諸島の侵攻用戦力を再編しつつ、ラーグに展開する海自艦隊の撃破を目論んでいる様です」


 対ゾルシア戦勃発以降、中央世界のメディアでは連日ガロアの戦争計画とその進捗状況について報道が行われており、皇国軍務大臣が談話という形で戦況の説明を行っている。日本もすでに第三国を介して中央世界に情報網を伸ばし、如何なる報道が現地で行われているのか、ガロアがどうやって戦争を進めているのかを把握していた。


「その規模は、戦艦だけで8隻、大型巡洋艦14隻、空母4隻、巡洋艦12隻、駆逐艦48隻という凄まじいものです。潜水艦も、先行して派遣している部隊によって排除を進めてはいますが、それでも10隻以上がまだゾルシア近海に屯しております。航空戦力に対する警戒も強めた方がよろしいでしょう」


「…いちいち求めるのは愚かだとは自認してはいるが、「やまと」は今どこにいる?」


 黒木防衛大臣の問いに対し、統幕長は答える。


「すでにダキア王国北西部の港湾都市に展開しており、即座にラーグへ急行出来る様にしております」

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