這い寄る絶望
トライデント王国の王都ベルメーア
他国との交易が盛んに行われており、別名・水の都とも呼ばれている大都市である。
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330665300790289
またトライデント王国はアイディール神国を明確に敵視している数少ない国の一つであり、ウィンクルム連邦国が消された今となっては世界で唯一多種族と人族が共に暮らす国となっている。
デュラン達は天晴を
「デュラン、アルムさんってどんな感じの方なんですか? 僕の棒を作ってくれる人なんですよね」
「昔ながらの
性格に難ありだが、腕は本物だからそこに関しては安心していい」
デュランがアリスからの質問にそう答えていると、肯定するように腰の天晴がカタカタと
そうしていると目的地である工房に着いたので三回ノックしてから中へ入り、いつも通りの鉄を叩く音を聞きながら大声でアルムを呼んだ。
しかし呼んでも来なかったので、椅子を二人分創ってその場で待つことにした。
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330665300860240
「……
「いや違う、今日はこのアリスの武器を作ってもらいたくて来たんだ。
材料はこの風竜シエルの爪とミスリルで四尺くらいの長さの棒を作ってくれ、
「僕からもお願いします、アルムさん。お手伝いできることがあったらなんでもしますので!!」
デュランが渡した材料をしばらく
「手伝いはいらねぇが、この依頼は引き受けた。三日後に取りに来い」
「分かった、じゃあまた三日後にくる。頼んだ」
「失礼しました!」
デュランはそう言ってから外に出ると一瞬ヴィンデ達の待っている宿へ帰ろうか悩んだが、せっかくアリスと二人きりだしデートすることに決めた。
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330665300922726
そして裏通りから表通りのメインストリートへ戻るとアリスが
「おぉ~」と目を
「ありがとうございます! そういえばデュラン、この神様は強かったんですか?」
「あぁ、強かったらしいぞ。この国の名前にもなっているトライデントっていうあの
今でもこの国の王族がトライデントをどこかに隠し持ってるって
そう言葉にしながらも恐らく本当の話だろうと内心で結論づけた。
起源神ワールドと剣神を
まあ、この国が攻めずらい地形なのもあるとは思うが。
「そんなことよりもそこの
「そうですね! 僕はパンケーキがいいです! 美味しそうです♪
それとお金について教えてください、何時までもデュランに頼り切りはいけないと思うので!!」
デュランはそうしたらまた一つ俺の仕事がなくなるんだが! と思ったが、アリスの意見を否定するのはありえないので泣く泣く話し出した。
「世界中で使われている主流な
他にもその国独自の硬貨なんかもあるが、大体この二つのどちらかを利用してることが多いからこの二つだけ覚えればいい」
「ドラゴーネ硬貨は見たことありますが、ユグドラシル硬貨は見たことないです! どうしてですか、師匠!」
「ああ、それはユグドラシル硬貨が使えるのは
今まで見せる機会がなかったんだ、実物はこれだ」
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330665301163095
デュランはそうしてユグドラシル金貨を見せながらどちらの硬貨も大金貨が一番価値があり、大金貨→金貨→大銀貨→銀貨→大銅貨→銅貨の順で価値が下がっていくことを教えた。
ただ買い物をする際はその国で買おうとしている物がどれくらいの価値を持っているのか知っていなければいけないため、買い物はゆっくり覚えていくことになった。……助かった。
その後は屋台で買い物をしながら宿へ向かって歩いていたが、途中で宝石店を見つけたのでちょうどいい機会だと判断し。アリスに指輪でもプレゼントするかと店へ入ると、ばったりとデート中のルイス達に出会った。
「……指輪でも買いにきたのか? 一応金は渡してるが金額的に足りてるか。
足りないんだったら追加で金をやるぞ、今俺はアリスとのデートで機嫌がいいからな」
「いや、もう買った後だし、そんな高いのを買ってないから大丈夫だ。こういうのは値段じゃないからな。
そう言うデュランの方こそアリスに結婚指輪を買ったらいいんじゃないか、エルフ族とはいえハーフなんだ。しきたりをそこまで気にする必要もないだろう?」
「ああ、元からそのつもりだ。アリスへのプレゼントはいくらでもあっていいからな」
デートという単語で
何時までもその状態のままでいる訳にもいかないのでもう指輪を買っているルイス達には先に店を出てもらい。アリスの薬指の大きさを測り、適切な大きさの指輪を買ってプレゼントした。
「こんな
「……アリスのが綺麗だと思うんだが、まあ気に入ってくれたのならよかった」
買ったのは青味がかった緑色のエメラルドの指輪だ。
アリスの色なのと宝石言葉が気に入ったから買ったのだがこの様子からしてどうやらアリスは宝石言葉を知らないのだろう、元々結婚指輪を
欲を言うのならば左手の薬指へ着けたかったが戦闘する際危ないので、シルバーのチェーンを買って首から下げることにした。絶対に戦闘中、指輪が落ちないようチェーンは頑丈な物を選んだ。
「それじゃあアリス、そろそろ宿に帰ろうか」
「うん、そうだね。帰ろう、デュラン」
そう言って歩き出そうとした二人は突然床がなくなったような感覚と共に――
「何ッ!? なんだこれは!! アリス、俺の手を放すなよ!!!」
「う、うんっ、分かった!」
とっさにアリスの腕を掴んだデュランはそのまま自分の方へと引き寄せようとしたが、地面から飛び出した
「おおっと、そうはいきやせん。用があるのはこちらのお
「グガァッ!? テメェッ!!!」
「デュランッ!? だいじょ――」
アリスは全力で手を
デュランはそのことに怒り狂いながら砕かれてない方の手で
「――殺す」
「おぉ~、おっかないね~。でもいいのかい? まだ周囲に闘えない一般人がいるけども」
「関係あるか、死ね」
デュランは脇差しを
「いててて、ここは何処だろう? デュラン、心配してるだろうし早く合流しなくちゃ」
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330665300945111
アリスは影の中を抜けて気が付けば見知らぬ
なんとか辺りを見回して出口を探していると痛そうに体を抱きしめて倒れている少女の姿が目に入り、もしかしたら一緒に巻き込まれて影の中に落ちたのかもしれないと思って助け起こすことにした。
「君! 大丈夫!! どこか痛い所とかない?」
「――そうね、実は痛い所があるの」
「だったら僕が魔法で治してあげるよ、どこが痛いの?」
顔を
すると次の瞬間――
「えっ――ああああああああああああああああああああああッッッ!!!!」
――少女はアリスの首筋に牙を突き立てて彼女の血と魔力を根こそぎ
そのまま弱っていくアリスの無駄な抵抗を楽しみながら吸血を続けた少女は彼女が意識を失うと、そのまま両腕で抱きかかえてから翼を広げた。
そしてこの状況に強い
「純粋な女の子を
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330665300966374
そうしてアリスを手に入れた吸血鬼の少女は自身の主に彼女を
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