第22話 新しい奴隷の仲間とに、仕事も頼みつつ、子供たちの護衛と先生を頼む。

その頃、俺は一人で鑑定を行いながら良さそうな人材を探していた。

後二人はせめて欲しい。

俺の夢の一人部屋は無くなるが、それは仕方がない。

諦めよう!

そうなると同室に男が欲しい。

隣にカナエが寝るのは絶対アブナイ。

今、シュウとテリーは一緒の部屋で眠っている。

非常に不味い。

カナエのと二人きりの部屋にと言うのは、男としても先生としても不味い……。

俺も男だし、性欲が無いわけでは決してない。

だが、物事には段階と言うものがあってだな……。

――そう思った時、ふと目に入った一組の獣人の男女に目が行った。

年齢的に俺より上だろうか?

鑑定してみると――。


【ダグラス:30歳・器用さ6・素早さ8・槍スキル10(激怒中)】

【エリーナ:28歳・器用さ10・知識8・素早さ6(反省中)】



――お買い得じゃないか!?

関係は気になるから聞くが、取り敢えず奴隷商人に話し掛ける。



「すまないご老人」

「おう、なんだ」

「そこの一組の男女は夫婦か?」

「いや、護衛と依頼人らしい」

「は?」

「なんでも、禁止区域に入って採取してたってな。それを王立騎士団が見つけてな。捕えてな?」

「うんうん」

「禁止区域は神聖な場所でな? そこでキャンプしてたみたいでな?」

「ほうほう」

「知ってて入ったらしくてな? 奴隷行きな訳じゃわ」

「それは酷いな」

「んでもって、男が激怒中でな?」

「うん」

「女は反省中なんだがな?」

「うん」

「駄目だなこりゃ。国帰れねーわ」

「そうだな」

「兄さん買い取るか? 結構キッツーイ奴隷印しねーと無理だけど」

「そうだなぁ……一度話してみてもいいか?」

「好きにすりゃええ」

「助かる」



そう言うと檻に入った二人の前に立ち、男は此方を睨みつけて来て、女はビクビクしている。



「気持ちのいい季節ですね! 俺はアツシ。商売をやっている」

「で? 何の用だよ」

「俺は護衛を求めていない。が、守って貰いたい子供たちがいる。子供たちは器用で素早い。君は器用で素早いだろう?子供たちを超えるスキルの持ち主を探していた」

「ハッ! テメーの子供だろう?」

「いや、悪いが俺は結婚していない」

「じゃあどこのガキだよ」

「孤児だ」

「……孤児?」

「ああ、親を亡くした子供、もしくは、語りたくない過去があるのか言えない子供もいる」

「……」

「それに、腕白坊主の相手も大変なものでな。君の力を借りたいと思っているのだが」

「人間の孤児だろどうせ」

「全員獣人だが?」

「マジかよ!?」



どうやらそこに食らいついてきたようだ。

此れには俺も驚いたな。



「訳あって奴隷を探している所だ。特に器用さと素早さがある者が好ましい。お願い出来るだろうか」

「俺は良いぜ、ただコイツがなぁ」

「恋仲か?」

「ちげーよ」

「そうか、失礼した」



そこまで話すと、俺は女性の方に話し掛けた。



「そこのお嬢さん、話を聞いていたかな?」

「はい……」

「貴女の所為で彼まで奴隷墜ちしたことは猛省しているだろうか? 迂闊な行動をして他者にまで迷惑をかける事はしないでいただきたい」

「う……本当にそうですね」

「だが、俺は貴女のスキルに興味がある。貴女は器用さがあり素早さもあり知識もある。そうだな?」

「そう、ですけど……」

「子供たちに空いた時間勉強を教えてやって欲しい。何れ巣立つにしても知識はとても大事だし財産になる。俺も先生をしているが、子供が五人いてな。年も似たり寄ったりだったり知識もバラバラだったりして教えるのに苦労している。助けて貰えないだろうか。無論俺の仕事を二人共手伝ってくれるならば、衣食住は約束しよう。そしてダグラスには俺が家にいない間、子供を守って欲しい」

「……アンタの熱意に負けたよ。いいぜ! アンタの奴隷になってやる」

「私も、私の知識が役に立ったり、スキルが役に立つなら……」

「決まりだな! ご老人、話し終わりました!」



そう叫ぶと奴隷商人のご老人は杖を突きながらやってきて「どうするかね?」と聞いてきたので二人を購入したいと告げる。

すると「アンタもモノ好きねー」と笑い、二人は檻から出され奥の部屋に通される。



「二人合わせて、まぁ、やった犯罪が犯罪だから高いんだけど、金貨800枚出せる?」

「出せます」

「お金持ちだねぇ」

「ははは。ではまずは金額をお確かめください」



そう言うと布袋に金貨800枚を入れて手渡し、それを付き人が数えて頷くと、奴隷商人のご老人は「首輪にする? ジュッとやる?」と聞いてきた為「ジュッとお願いしたい!」と言うと二人がビックリしていた。



「おっきいのでジュッとしようか?」

「いや、結構。小さいのでジュッとしてくれ」

「えー? 小さいのでー?」

「俺の家には幼い子供たちが多いんだ。大きいのを見たら泣いてしまう」

「それなら仕方ないね……小さいのでジュッとしようね?」

「ありがとうお爺さん。出来れば服で隠れて見えない所でお願いしたい」

「あいよー」



こうして二人はジュッとやられた訳だが、子供たちも耐えたんだ、大人の君たちも耐えてくれ。

その後奴隷契約が終わり、二人は俺の後ろについて拠点までの間無言だった。

無言だったが――。



「一つお願いがある」

「ん?」

「仲直りはしておいてくれ」

「……そうだな、ガキどもに悪い影響でるしな」

「ああ」

「エリーナ、今度から気を付けろよ。もうご主人様がいるんだからな」

「うん……気を付ける」

「それともう一つ」

「ん?」

「子供たちはとても幼い。親を亡くして傷ついている子もいる。威圧的な態度は余り取らないで欲しい。頼む」

「分かった。気を付ける」

「ありがとう」



こうしてやってきた拠点の前で二人は口を開けて唖然としていたが、俺に促されて中に入ると、子供たちがワラワラやってきた。

そして大人のダグラスたちが入ってきて一瞬身構えたが――。



「これから君たちを守るナイト様だ! 仕事もしてくれるし凄いぞ!」

「ナイト……って?」

「護衛騎士みたいな奴だろう!?」

「君たちが危険なく過ごせるように、俺が居ない間守って貰えるように頼んで来て貰ったんだ。困ったことがあったら、このダグラスと、奥のエリーナに色々聞くと言い。ちなみにエリーナは二人目の先生だ。シッカリ勉強を教えてくれるぞ」



そう言うと子供たちはワッと声を上げて喜んだ。

そして、靴を脱いで上がって欲しい事を告げると、料理が一段落したカナエがやってきた。



「俺の弟子のカナエだ」

「初めまして、カナエです」

「俺はダグラスだ」

「私はエリーナ」

「これからダグラスと俺は同じ部屋で寝る。エリーナとカナエは同じ部屋で寝てくれ」

「むう、しょうがないなぁ」

「誘惑しても無駄だぞ?」

「もう」

「カナエ、二人に服を用意してくれ。俺はダグラスに風呂の使い方を教えてくるし、湯も溜めてくる」

「分かった。個室で下着を測りましょう」

「分かったわ」



こうしてダグラスに一通りお風呂の使い方を説明し、湯も溜まった頃、まずはダグラスから風呂に入って貰う事になった。

その間に俺がカナエからダグラスの服とタオルを貰い受ける。

それを棚に置いておけば着てくれるだろう。

そんなバタバタした一日で、その後エリーナもお風呂に入って綺麗になってくると、俺は最後の仕事に行くべく、「夕飯前には戻る」と伝えて『ストレリチア』へと向かった。

時間は丁度閉店時間。

中に入ると――。






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