32.根性は見せてもらったよ
「『あんまり意味ないよ、そういう攻撃。もっとあたしたちのこと、いろいろ真剣に考えて欲しいなあ』」
「……意味がないのは、お互いさまだよ」
「ぼくたちは神さまの一部なんだから……滅ぼすと決まったものを滅ぼすし、壊すと決まったものを壊す。今は、それがたまたま、あんたたちってだけ」
アルスマギウスが、さらに速度を上げた。並んでいた
「他を知ってるわけでもないけどね。人間とか石ころとかも、結局、関係ない。人間のふりして見せたって、手が迷うほど
「『んー、ハードボイルド? そういうギャップも可愛いんだけどさ。あんまり
「んなッッ!? それこそ、なんの関係もなしのコンコンちきだよッ! 言っておくけど、これはわざとッ! わざと、あざとく、狙って攻めてるコースなわけッ!」
「『
「『本当はね。あたしたちも、もういいんだ』」
「……」
「『絶滅させられたっていいんだよ。なんて言うか……あたしたちが生きてても、それこそあんまり意味ない感じ、わかる気がしてる、のかな?』」
「だから……」
「『でもさ。リーダーさまががんばってくれてるんだから、あたしたちもがんばらなきゃ、って思うじゃん』」
「関係ない……!」
「『……あたしたちのために泣いてくれてるんだから、なんかやらなくちゃ、って思うじゃん』」
「うるさいんだよ! 石ころが、ごちゃごちゃと!」
アルスマギウスと
アルスマギウスは、広げた
視線は合ったのか、合わなかったのか、わからなかった。マイクロブラックホール
重力異常が電磁場を乱しながら蒸発する。
すべてが消えた後に、アルスマギウスだけが投げ出されていた。
「はぁああああ……つっっかれたよ、まったく……!」
左眼の
「でも……根性は見せてもらったよ」
それだけを、どこにもとどかない信号でこぼして、暗い宇宙の底へ沈むように消失した。
********************
残っていたすべての
サーガンディオンが両腕の、
だが、飽和していく攻撃の中、数多の
察知できない距離、位置、タイミングで、反物質化した誘導弾がサーガンディオンに着弾する。互いの同質量を対消滅させて、サーガンディオンの
今の
パルバトレスもアルスマギウスも、
水転写の
「もう、やめよう……
有機生命体と無機生命体の生存競合は、止められない。
そして情けない人間でいることも、矛盾する言葉を交わすことも、やめるわけにはいかなかった。
「俺は……カッコいいヒーローになんて、なれないよ。地球全部を殺しても一人を選ぶなんて、言えない……。それでも……それでも、俺は
「『いいんだよ、
「『あたしたちは、あなたたちを進化させるために生まれて、殺されるの……それが決まりなんだよ。最後の最後まで殺し合って、あなたたちが勝たなくちゃいけないのよ』」
「『だから、やめるなんて言わないで! 笑って殺し合おうよ!
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