異形が跋扈し始めたこの世界で知恵と工夫だけで生きていく

nyao2

0.変異

思えばこの世界が変わり始めたのはあの時からだった。

そう、私たちはそんなことも露知らず遊んでいた。





###

「来たよー、ユキ」

「早かったね、」


私は宮野 由紀。夏休み真っ盛りの中学二年生。

そして玄関に立っているのが私の親友、中山 美優。


は夏休みの宿題を片付けるために私の家へやってきた。


「階段多いー、暑いー。」

「家山の上だからね。」


私の家は丘の上に建っている。この炎天下の中登山するのはさぞ大変だっただろう。


「そうだね。冷房つけるよ。」

「やたー」


そして何の迷いも無く家の中へ入っていく美優。


「そういえばお母さんは?」


「ケーキ買いに行ったよ。」

「それじゃ、」

 

ん。


「思いっきり遊べるね!」

こら、何のために来たんだ。


「ひあっ!」

「 地震?最近多いね。」


今のは結構揺れたな。私も少し怖かった。


「とりあえずお母さんが戻るまでは宿題やるよ。」

「はいー」


###


「疲れたー、休憩ー」

「まだ三分。」

「無理。私の集中力は三分が限界なの!」


全く、本当に何のために来たのか。


「ここは眺めがいいよねー」

「丘の上だからね。」


そう言って部屋のカーテンを開ける美優。


「あれ、火事?」

「本当だ、煙が上がってる。」


窓際によらなくても分かるほどの濃い煙が見えた。


「あれ、私の見間違い?」

「どうしたの。」

「あれ、雨雲じゃなくて、煙?」


そんなはずない。

確かに空は灰色だけどそれが煙だったら街全部が燃えてるはずだ。


「ほんとだって、見てみなよ由紀」


手を引かれて窓側に寄ると。


「本当だ。」


黒雲はしっかり地面から出ていた。遠くで赤い色が見える。


それを見て、よくわからない恐怖に襲われたような気がした。


「…由紀?」

「あ、ごめん。」

「さっきの地震かな?」

「…多分。」


だとしても、あの地震はそれほど大きくなかった。

何か、他の何かが。


「!、テレビ。テレビ見れば何わかるかも。」


電源を点ける。


『各地で、未確認の生物が無差別に攻撃を繰り返しています。』

『攻撃に注意してください。』


「な、にこれ」


テレビに映る生物の姿は差し詰めモンスターや魔物と言うようなものだった。


###


世界が一転したのはこの時だった。

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