30歳女性オタク生物学者は、異世界で合成獣(キメラ)生成の職に就く
ももぱぱ
第1話 プロローグ
「よし、この細胞から染色体を取り出せば、今日の作業はお終い!」
私、"桜野もも"は日本のとある研究所で生物学者として働いている。生物学とは、『生命現象を生態を構成する分子レベルで解明しようとする研究』から、大きくは『地球における生物の生態系』まで、その研究範囲は実に幅広い。
私はその中でも、"遺伝"について専門的に研究している一人である。
私は女の子には珍しく、小さい頃から生き物が大好きだった。それこそ、小学校2年生の時に死んだカエルをカッターで解剖し、体の構造を調べるくらいに。いや、知的好奇心が抑えきれなかったのよね。
あの時は、母親にカッターを取り上げられた挙句引っ叩かれ、父親にはこんこんと命について説教された。
いや、生きてるカエルならまだしも、死んでるカエルなら問題ないでしょうに。実際、小学校の理科室に飾られてるくらいだし。
さて、そんな私は同年代の女の子と会話が噛み合うわけもなく、話し相手はもっぱら男の子ばかりだった。その頃から、考え方やしゃべり方まで男の子っぽくなってしまった自覚がある。
中学、高校は小学生の時の失敗を活かし、空いている時間は大抵、生物学の本を読み漁っていた。生き物図鑑から難しい遺伝の本まで幅広くね。
そして、大学を出てからは念願の研究所勤めで、毎日顕微鏡を覗く楽しい日々を過ごしている。
もちろん彼氏などいる訳もなく、今年めでたくアラサーからサーになってしまった。今日も研究所で一人寂しく残業をしており、同僚達は17時を過ぎた段階でさっさと退勤し、今頃合コンとやらを楽しんでいるはずだ。
『私は研究をしている方がよっぽど楽しい』
とは言っても、さすがに終電までには帰りたいので、キリのいいところで今日の研究を切り上げることにした。
私はずっと同じ姿勢で座っていたので、身体をほぐすために軽く伸びをしてから立ち上がる。
「さて、今日はこのくらいで帰るとしますか」
そう呟いて振り返った瞬間、後ろに置いてあったキャスター付きの台にぶつかった。
ガチャン!
その台の上に無造作に置かれていた薬品の瓶がいくつか落ち、床に衝突して粉々に砕けてしまった。途端に発生する有毒ガス。
「誰だ! こんなところにこんなヤバイ薬を置き忘れたヤツは!」
後輩の失態に文句を言ってももう遅い。発生した有毒ガスが一瞬で研究室に充満し……
「う、動けない。こ、これは本格的にまずい」
床に倒れ込んだ私は、何とか顔を動かして辺りを見回すが、この状況を打開できそうな起死回生のアイディアなどは思いつかない。それどころか、身体全体が痺れてきて、だんだん意識が朦朧としてくる始末。
(あーあ、私はこんなところで一人寂しく死んじゃうのか。今やってる研究は最後までやり遂げたかったな。
よし、神様お願いします。もし、生まれ変わることができたらまた研究者になれますように。そうだ、その時は原子レベルの研究をしよう。ついでに魂の研究なんかもしちゃったりして……)
すでに全身が動かなくなり、目も見えなくなっている。薄れゆく意識の中で、最後にまぶたの裏に映ったものは、懐かしい思い出や家族の顔ではなく、キーボードを叩くような音とともに現れた、
【ギフト"
という長ったらしい文章だった。
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カクヨムコン参加作品第2弾になります!
テンプレ作品を完結させ、次は人と違った物を書きたいと思い、中二病全開の作品を作ってしまいました。魔力や魔物を霊力や霊獣に置き換えただけの浅はかな、中二病全開の作品となってしまいましたが、よろしければ読んでやってください。
同時進行中の「転生したのは妹で俺は妹のチートスキル」もよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16817330663864669656
なお、近況ノートで先行投稿もしておりますので、限定ノートではありますが興味がありましたらご利用ください。m(_ _)m
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