第2話



1はじまり



神様は毎日天国にやってくるたくさんの人を見て不思議に思っていました。


どうして、こんなに豊かな人とそうでない人がいるのだろう?

どうして、こんなに幸せそうな人とそうでない人がいるのだろう?


生きている間不幸だった人は、天国にやってくると決まって神様に文句を言いにきます。


「どうして私だけ、こんなにめぐまれない人生をお与えになったのですか?私をお見捨てになったのですか?」


神様はそういわれると本当に困ってしまいます。

だから天使たちが、天国にやってきた彼らと神様の間に入って、なだめるのが常になっていました。


神様はある日、そばにいた天使に声をかけました。

「どうして人々はこんなに ”私は他の人よりもめぐまれない人生だった” というのだろうか。天使よ、ちょっと地上におりて、人々のTiMeがどのように使われているか調べてきてくれないか?」

「はい、わかりました」

天使はすぐに返事をして、地上へおりていきました。


TiMeというのは、神様が昔、すべての命を愛するために、等しくお与えになったものの一つです。


TiMeはそれ自体では、なんの価値も生み出しません。


それを使って、何を増やしたいか望んだときに

TiMeは形を変えて富へと生まれ変わります。


だからTiMeは何にでも変わることができます。

幸せの形は様々だから、豊かさの形も様々だから、誰が何をのぞんでも、きちんとそれに変わることができるようにしたのです。


けれどTiMeは消えていく富です。

TiMeをたくわえたり、増やしたりすることはできません。

TiMeは24時間たつと、すべて消えてなくなってしまいます。使い残したものも、明日にとっておこうとしたものも、すべて消えてなくなってしまいます。

だからその瞬間、すべての人は等しく貧しくなります。


けれど神様はTiMeを毎日新たにつくりだして、わけへだてなくすべての命にお与えになります。

誰もが豊かになれるように、誰もが幸せになれるように、神様は毎日TiMeをつくりだしています。


天使はそのことをよく知っているので、

天国にやってきた人々の一部が「自分は不幸だった。神様が自分をお見捨てになったせいだ」とかみつくのが理解できませんでした。


天使は高い山の頂きから地上をみわたして

地上に生きる人々が消えていく富TiMeを何に使っているのか、調べようと思いました。



つづく。

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