第17話:ルークのガールフレンド。

「こんなふうにお願いします」


プリティスはミッシェル・クイーンの写真をおネエさんに見せた。


「はいはい・・・ああミッシェルね・・・分かった」

「ベストチョイスね」


写真を見たおネエさんは、ルフィアの髪を見たり触ったりした。


「綺麗な髪ね、切るの勿体無いくらい・・・」

「本当に切っていいのね?」


プリティスは覚悟を決めて、小さくうなずいた。

最初のハサミが入った。

プリティスは切られて行く自分の髪を見て、少しだけ 後悔しそうになった。


(髪はカットしてもいつかまた伸びるし・・・)


おネエさんは手馴れたテクニックでプリティスの髪型をどんどんルークの

理想に変えていった。

シュートになった髪に軽いパーマをかけてくれたので、よりミッシェルに

近づいた。


「はい、どうかな・・・こんな感じ・・・?」


鏡に映った自分を見てプリティスは自分じゃない気がした。

そこにはチャーリーから指摘された三つ編みの女の子はいなかった。


「はい、素敵です」


「見違えたわね、可愛さ倍増、よく似合ってるわ」

「長い髪もよかったけど・・・あなたはそのほうが似合ってるわ」


「ありがとうございました」


「どういたしまして・・・はい、いいわよ・・・また髪が伸びたら

いらっしゃいね」


「ありがとう・・・」


プリティスは新しい髪型がすっかり気に入ってしまっ た。

ソフィアさんから貰ったお金で料金を払って、お礼を行って店をあとにした。

頭がすこぶる軽くなった。


美容室を出たルフィアはソフィアさんから


「美容室へ行くならパン屋さんによって食パン買ってきてくれる?」


って頼まれていたので、教えてもらったパン屋さんに向かった。

駅のロータリーを回ろうとした時だった。

プリティスの足が止まった。


駅の入り口に、学校に行ってるはずのルークの姿が見えたからだ。


「え?、ルーク、学校じゃないの?、なんで??・・・なんでこんな

ところにいるの?」


それは、たしかにルークだった。

プリティスは声をかけようかどうか一瞬迷った。


でもルークのすぐそばに女の人が立っていて、ルークととっても

親しそうに話しながら微笑みあっていた。


その子はルークを迎えに行った時、校舎からルークと一緒に出てきた

あの女の子と同じ制服を着ていた。


(もしかしたらルークのガールフレンドなの?)

(私の知らないところでルークは、学校をサボって同級生の女の子と

こんなところでデートしてたの?)


するとその女の子がプリティスのほうを振り向いてにっこり笑うと

深々とお辞儀をした。


プリティスは驚いた。

なんで?って思った。


(なんで、私のことが分かるの?)


プリティスもつられてお辞儀をしたが、どうしてその子がお辞儀をしたのか

意味が分からなかった。

ありえない光景を目にしてプリティスは動揺を隠せなかった。

ショックだったし、意味もなく悲しかった。


プリティスはパン屋さんへ寄ることも忘れて、そのままルークんちへ、

ランドール家に帰ってしまった。


つづく。

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