第14話:これが君のアイデンティティ。

(プリス・・・ どこ・・・?)


「プリス、どこだ?」


「ここだよ」


プリティスはルークのすぐ上にいた。


「大丈夫だよ・・・私がサポートするからルークはペダ ル漕がなくて

いいよ・・・」

「このまま自転車ごと、おうちまで帰ろう」


そう言われてルークはペダルを漕ぐのをやめた。


それなのに自転車は勝手に速度を上げて前に進んでいった。

まるで宙を浮いてるようだった。

実際には自転車はルークを乗せて少しだけ浮いていたのだ・・・。


ルークはムーンナイトから放たれた淡い光が自分と自転車をすっぽり包んで

いるのが分かった。


「魔法・・・?」

「そうだよ、プリスは魔法使いなんだ、忘れてた・・・」

「チャーリを浮かせて見せたあれと同じ魔法だね」

「すごいよ・・・プリス・・これが君のアイデンティティなんだ」


「ねえ、プリス、君ってなんでもできちゃうの?」


「できないよ・・・チャーリーにも言ったけど、人をカエルに変えたり、

他にはお金を出したり・・・そういうことはできないの」

「どっちかって言うと私は防御系、ヒーリング系の魔法が使えるの」

「あとは 未来を予言したり予知したりね・・・ 」


「中でもヒーリング系・予知系が得意・・・」

「エルフにもいろいろいて、魔法もいろいろあってね、選考する授業に

よって覚える魔法が違って来るの」


「そうか・・・魔法学校に通ってたんだよね」


「そうだよ・・・私は17才でめだたく全過程終了したけどね」


「でも、空を飛ぶ方法はここにいる時お母さんが教えてくれたの」

「ルークの家にお世話になってた時にね」

「空を飛べたほうがどこへ行くのも便利だし楽でしょ」


「今は、自由に飛べるよ、飛べたからルークに会いに来れたの」

「やっぱり私が来たのって迷惑じゃなかったかな?・・・」


「迷惑なんて、そんなことないよ、プリスが来てから家の中が明るく

なったし・・・僕が一番喜んでるんだよ・・・」


「それに、ずっとお母さんと二人じゃつまんないからね・・・」


「つまんないって、そんなことソフィアさんが聞いたら泣くよ」


「大丈夫だよ、うちのお母さんはそんなことじゃメゲないから」


「女は弱し・・・されど母は強しってやつだよ」


「なにそれ?」


「だから・・・女性は・・・あ〜いいや、そんなこと知らなくて」


そんなことを言ってる間に、あれよあれよと坂を登ってふたりは家にたどり

着いていた。


マウンテンバイクを車の横に停めたルークにプリティスは言った。


「これから毎日学校に迎えに行くから」


「今日は嬉しかったけど、そんな無理しなくていいよ」


「私がそうしたいの・・・ね、好きにさせて」


ルークは、いいよってふうに二度ほどうなずいた。


その夜、プリティスはよく眠れた。

少しでもルークの役に立てて彼女は嬉しかったのだ。


自分が空を飛ぶこと以外、ルークんちに来て、二度目の魔法を使った。

もう何も心配はないんだってプリティスは思った。


ただ今日校舎からルークと一緒に出てきた同級生の子が少し気になる

プリティスだった。

あと、ルークの部屋にあったの写真スタンドにルークとツーショットで

写っていた女の子のことも・・・。

年頃の女の子の心は、些細なことで揺れ動くもの。


つづく。


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