第12話:街への買い物とルークの学校。

ルークとチャーリーは釣り道具を片付けて帰る支度をした。


「世の中には科学なんかじゃ説明つかない不思議なことってあるんだな」


「なに、感慨深げに言ってるんだよ」


「いやいやプリスの魔法の前じゃ科学なんて・・・」


「分かったから、とっとと帰るぞ、チャーリー」

「プリスも帰ろう?」


ルークはプリスを見てそう言った。

プリティスはふたりの様子を見ながら、ふっと宙に浮いた。

宙に浮いたプリティスを見てチャーリーが言った。


「ほあ〜〜〜宙に浮いてる・・・あ、かぼちゃパンツ・・・」


「おまえ、どこ見てんだよ、デリカシーないぞ」

「あれは昔のヨーロッパの女性が履いてたのと似た下着だよ・・・」


ルークとチャーリーは自転車で、プリティスは空を飛んでルークの

家に帰った。

チャーリーはルークの家でまたプリスを質問攻めにしてゲームに夢中になって、

暗くなる前に自転車で帰って行った。


次の朝、月曜日・・・ルークは学校に出かけた。


「今日はルークは学校」

「一昨日、昨日は、土・日で学校がお休みだったからプリティスが来た時ルークが

家にいる時でよかったね 」


ソフィアさんがそう言った。


ルークが休みだった日にプリティスがやって来たのは偶然だったのだ。

ソフィアさんによれば ルークはここから町の高校に30分以上かけて自転車で

通ってるって話だった。


その代わり帰りは、ほぼ上り坂なので家に帰ってくるまで1時間かかった。

道路は舗装されていたが、曲がりくねっていて道幅も普通車一台分しかなかった。


ルークが学校へ行ってる間にソフィアさんはプリティスを連れて車に乗って

街へ買い物に山を降りて行った。


これから、たぶんルークんちで暮らすプリティスのために洋服を買いに

出かけたのだ。

その途中、ルークの学校の前を通った。


「ここがルークが通ってる学校よ」


プリティスが通う魔法学校よりはるかに大きな校舎・・・プリティスは

学校の場所を覚えた。


(学校が終わる頃を見計らってルークを迎えに行ってみよう)


すでにプリティスの中ではルークを迎えに行くことはもう決まっていた。


ふたりを乗せた車は学校を経由して駅に向かった。

ロータリーの途中から路地に入ると「猫のパン屋さん」ってパン屋さんがあって、

ソフィアさんは朝食用にといつもこの店で食パンを買っていた。


買い物を済ませソフィアさんと家に帰ってきたプリティスは、ソフィアさんに

ルークの学校へ行くことを告げると夕方、ひとりで彼の学校へ出かけた。


空を飛べば街へ下りるのもひとっ飛び。


「裏門で待ってたら生徒がぞろぞろ出てくるか ら・・・」


ってソフィアさんが教えてくれた。


学校の上空に到着したプリティスはなるべく人気のない場所に降り立った。

校舎には入らず、生徒が出てくる裏門でルークを待った。


しばらくすると他の生徒に混じって校舎から自転車を押して出てくる

チャーリーが見えた。

プリティスは自分がここにいることを彼にアピールしようと 「チャーリー」

って叫んで大きめに手を振った。


自分の名前を呼ばれたチャーリーはすぐプリティスに気がついた。


「お〜プリス・・・ルークを迎えにきたの?」


「うん」


「可愛いからすぐ分かった・・・それにその耳ね」


「褒めても、何も出ないよ」


「褒めてなくて・・・僕は真実を述べてるだけ」


チャーリーの横を他の生徒たちが通って行く時、意味ありげにプリティスを

見て行った。


「ルーク、今日はちょっと遅いと思うよ・・・」


「いい、待ってる・・・」


「そう・・・じゃ、俺先に帰るから」


そう言って帰ろうとしたチャーリーがなにかを思いついたように振り向いて

プリティスに言った。


「あのさ、プリスいいこと教えてあげるよ・・・」


つづく。


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