第八十二話 裏の裏

「――行くぞ、なまくら!」


 金色の疾風――素のままで駆ける速度ですら相当なものだというのに、エリーティアは勇ましいというか、彼女の容姿に似つかわしくない猛々しい声を出し、技能を発動してさらに加速する。 


(エリーティアの性格なんだろうが、戦いになると人が変わるな……闘争心が剥き出しになるというか。頼もしいことこの上ない……!)


「エリーティア、『支援する』! みんな、『気合いを入れるぞ』!」


「「「はいっ!」」」


 ◆現在の状況◆


 ・『アリヒト』が『支援攻撃2』を発動 → 支援内容:フォースシュート・スタン

 ・『エリーティア』が『ソニックレイド』を発動

 ・『アリヒト』が『支援高揚1』を発動 → パーティの士気が11上昇


(この戦闘では士気100には達しない。だが、仕留めるしかない!)


 ――そのとき、装甲を外した『背反の甲蟲』が、全身から血のように赤い蒸気を吹き出す。


 辺りの環境に影響を与える類のものではない。それはまさに、生命そのものを削る内燃機関のようにも見えた。


「――キシャァァァァァァッ!!!」


 ◆現在の状況◆


 ・『背反の甲蟲』が『背水の陣』を発動 → 体力が減少、攻撃力と速度が上昇

 ・『背反の甲蟲』が『レイザーホーン』を発動


 速い――俺の『鷹の眼』でも追従するのがやっとで、赤い残像が残るほどの動き。


 しかし『ソニックレイド』を発動したエリーティアは、敵の攻撃をギリギリまで引きつけ、空振りさせる。残った残像が、甲蟲が振り下ろした角で頭から断ち割られたかのように見えて、パーティの全員が一瞬息を飲む――だが、俺だけがエリーティアが回避したこと、反撃に打って出たことを理解する。


「――エリー、奴はもう90秒ももたない! 可能な限り『止める』ぞ!」


 エリーティアは敵の側面に回るが、凄まじい反応で追撃される。『ソニックレイド』の効果が切れる一瞬前に飛び退き、すかさず連続で『ソニックレイド』を発動させ、常人なら隙として認識することもできない刹那に反撃を繰り出す。


「止まれええええええええっ!」


 ◆現在の状況◆


 ・『エリーティア』が『ブロッサムブレード』を発動

 ・『背反の甲蟲』に1段目が命中 スタンに抵抗

 ・『背反の甲蟲』に2段目が命中 スタンに抵抗

 ・『背反の甲蟲』に3段目が命中 スタンに抵抗


「ギ……ギギ……」


 スタンが入らない――今の状態の奴には、状態異常が通じないのか。十二段のうち一度でも成功すれば、敵の後ろから接近している別パーティが、完全な形で弱点を突くことができるのに。


「……私は……肝心なところで、いつも……っ」


 エリーティアの焦りと落胆が伝わってくる。彼女の精神的な脆さは今までにも感じていた――しかし、何も引け目に思うことも、諦めることもない。


 俺たちパーティは全員で戦っている。いつもそうやって、窮地を切り抜けてきた。


「エリーさん、援護します! ――『当たって』!」

「『ダイストリック』からの、『ラッキーセブン』! イカサマ上等ーっ!」

「っ……!」


 背反の甲蟲が『ブロッサムブレード』を弾き、反撃に転じようとする前に。遠距離攻撃を持つ三人が、一斉に総攻撃をかける――持てる限りのスキルを使って。


(――『支援する』!)


 ◆現在の状況◆


 ・『アリヒト』が『支援攻撃1』を発動

 ・『スズナ』が『皆中』を発動 → 2本連続で必中

 ・『ミサキ』が『ダイストリック』を発動

 ・『ミサキ』が『ラッキーセブン』を発動 → 成功

 ・『★背反の甲蟲』の状態異常耐性が低下

 ・『テレジア』が『ダブルスロー』を発動 スモールダークを2本投擲

 ・パーティの投擲攻撃が4段命中 ノーダメージ 支援ダメージ44

 ・『ブロッサムブレード』の6段目が命中 → 『★背反の甲蟲』がスタン


 ミサキがサイコロを振った途端、甲蟲の周囲を覆うオーラのようなものが薄れたように見えた――支援攻撃のダメージが奴の体勢を崩し、直後にスタンが入って、地面に突っ伏すようにして止まる。


「やった……!」

「――メリッサ!」

る……その角……っ!」


 ◆現在の状況◆


 ・『メリッサ』が『包丁捌き』を発動 → 部位破壊確率が上昇

 ・『メリッサ』が『切り落とし』を発動 → 『★背反の甲蟲』が素材をドロップ


「ギシャァァァァァ……!!!」


 メリッサが巨大な包丁を両手で振り抜くと、光り輝いていたカブトムシの角の部分が見事に切り取られ、宙を舞う――そして、その鋭利さを物語るように深々と地面に突き刺さる。


 同時に、フォーシーズンズと五十嵐さんたちが攻撃できる間合いにまで到達する。


 ――しかし俺は、ただ『敵の急所が裏にある』というだけで終わらず、ほとんど勘のみで、五十嵐さんに一つの指示をする。


「――五十嵐さん、一度フェイントをかけてください!」

「フェイント……ええ、分かったわ!」

「えっ、な、なんや……?」

「カエデ、アリヒトさんの指示に任せて! きっと間違いないからっ!」


 イブキの声に答えて、切り込もうとしていたカエデが攻撃のタイミングを遅らせる。そして五十嵐さんがすかさず『囮人形』の技能を発動した。


「地より生まれし泥の人形ひとがたよ。ひとたび我が魔力を宿し、立ち上がり、魔の目を引きつける尖兵となれ!」


 囮人形を発動するための人形ヒトガタが、五十嵐さんの魔力を吸って人間と同じ大きさにまで大きくなる。そして、甲蟲に近づいた瞬間だった。


 ◆現在の状況◆


 ・『★背反の甲蟲』が『裏切りのギロチン』を発動 → 囮人形を破壊


「きゃぁっ……!」


 五十嵐さんが驚いて悲鳴をあげる――やはり、念には念を入れておいて良かった。泥人形が、『背反の甲蟲』の背面から飛び出した巨大なハサミで両断されたのだ。


 背反の甲蟲は、カブトムシの面が『背中』だ。本当の正面はどうなっているか――甲殻の中に収めてハサミを隠していたが、本当はクワガタのような魔物だったのだ。


「え、えげつなっ……何やのあれ……!」

「び、びっくりしたなぁ……勘弁してよもう……っ」

「カブトムシに見えたのは、罠……本当は……」

「クワガタ……なの? すごく大きなハサミね……」


 フォーシーズンズの面々も戦々恐々としている――それはそうだ。人間があのハサミで挟まれたら、怪我どころでは済まない。おそらくは両断されて即死だろう。


 だが、ハサミを閉じてすぐには開くことができないらしい。装甲を軽くして防御力を犠牲にした『背反の甲蟲』は、為す術もなく、五十嵐さんとフォーシーズンズの集中砲火を浴びた。


「――シオンちゃん、みんな、行くわよ!」

「ワォォーンッ!」

「「「「了解っ!」」」」


 ◆現在の状況◆


 ・『キョウカ』が『ブリンクステップ』を発動

 ・『キョウカ』が『ダブルアタック』を発動 → 2回命中

 ・『シオン』が『ウルフズラッシュ』を発動 → 4回命中

 ・『カエデ』が『二段突き』を発動 → 2回命中

 ・『イブキ』が『天鷲脚』を発動 → 2回命中 弱点攻撃 怯み

 ・『アンナ』が『ジャンプスマッシュ』を発動 → 1回命中 クリティカル

 ・『リョーコ』が『アクアドルフィン』を発動

 ・『★背反の甲蟲』を一体討伐

 

 五十嵐さんは念のために『ブリンクステップ』を使い、切り込み役を務める――槍の威力こそ高くはないが、続けてシオンが爪攻撃のラッシュを見舞い、カエデが木刀の突きを打ち込み、跳躍したイブキがクワガタの頭部を踏みつける。


 アンナは敵が怯んだと見ると、小柄な身体をめいっぱいに使って跳躍し、ラケットをクワガタの頭に叩き込む――最後にはリョーコさんが、持っていた水の量より明らかに大きな水でできたイルカを召喚し、突進させる。


「……ギ……ギ……」


 甲蟲は最後まで戦意を失わず、ようやくハサミを開いて誰かを道連れにしようとする――だが、その前に力尽き、動きを止めた。


「……やったの……?」

「……わぁぁっ! 凄い、めっちゃ凄い! こんな強い『名前つき』を倒せるやなんて、信じられへん!」


 カエデは最初信じられないという様子だったが、ライセンスを見て討伐されたという表示を確認すると、やっと喜びが実感できたようだった。


 エリーティアは向こうのパーティを見ていたが、こちらに振り返って歩いてくる。


「……何とか役目を果たせたわね。最初は、どうなるかと思ったけど」

「よくやってくれた。その……すまないな、戦闘中だからって、咄嗟に『エリー』なんて呼んだりして」

「っ……そ、そんなこと、私は別に……気にしてなんて……」


 「他の人にもそう呼ばれてるし」と聞こえるかどうかという声で言うエリーティア。その顔はかなり赤くなっている。


「……別に、アリヒトならそう呼んでも気にしないわ。子供の頃の愛称だから、あまり呼ばれるのは恥ずかしいけど」

「そ、そうなのか……じゃあ、基本はやっぱりエリーティアと呼ぶべきだな」

「何をお堅いこと言ってるんですか、もー。エリーさんがそれでいいって言ってるんですから、積極的に呼んでいくべきですよ。ね、スズちゃん」

「ミ、ミサキちゃん……そんなふうに囃し立てたら、エリーさんが困ってるから」

「い、いいの。ありがとう、スズナ。でも、呼ぶこと自体は……別に、アリヒトの自由というか……な、何?」


 五十嵐さんならここで反射的に謝ってしまうところだが、エリーティアの場合はまた違う。意地を張ってもどこかしおらしいというか、どこか儚げなところがあった。


 それは彼女が、スズナに出会うまで孤独だったからなのかもしれない。もし強がりすぎて俺の機嫌を損ねたらとか、そういうことを気にしてしまっているのだ。


 俺に必要なのは、リーダーとして、年長者としての落ち着きだろう。エリーティアがより自然に、気兼ねなく接してくれるように努力しなくては。


「じゃあ、俺の自由で。エリーと呼ぶこともある、と思っておいてくれるか」

「い、いいけど……」


 「いつもじゃないの?」と呟くエリーティア。それが聞こえたのか、ミサキとスズナが顔を見合わせて笑う――スズナは遠慮がちだが。


「気楽に人をからかってくれるわね、あなたって人は。ミサキ、後でギルドの裏に来なさい」

「ひぃっ……しゃ、舎弟になるので許してください! でも上司はお兄ちゃんなんだからね!」

「三人でまたお話しませんか? エリーさんとは、またゆっくりお話したいですし……アリヒトさんのことで」

「お、俺の話……? いや、愚痴とかならオープンにぶつけてくれた方がありがたい。待遇の改善とか、パーティの方針とか、遠慮なく言ってもらって……」

「……ふふっ。何でもないわ、こっちの話よ。ふたりとも、ドロップ品を集めましょう。マドカとメリッサに任せるのは悪いから」

「はい、エリーさん」

「何かいいもの落ちてないかなー。むむっ、これは犯人の足跡!」


 そんなものは無いが、四つん這いになってまでドロップ品を探すのは、年頃の女の子としてはしたなくはないだろうか。お兄さんとしては若干赤面せざるをえない。


 視線の向けどころに困っていると、五十嵐さんとシオンがやってきた。シオンはとても良い仕事をしたので、頭を撫でて背中を撫でてやる――フサフサの尻尾をパタパタと振って、喜んでくれているようだ。


「後部くんって、そういう方面にいちおう反応するのに、基本的にはお地蔵様みたいなんだもの」

「えっ……じ、地蔵? 俺、地蔵に似てますかね?」

「そうね、戦いの時以外は、静かに見守ってくれてる感じがね。でも、それだけだと心配になるっていうか……」

「…………」


 五十嵐さんだけでなく、テレジアも俺を見ている――まさか心配されているのか。だとしても何をだろう。


「アリヒト兄さん、こっち来て! また箱が出てる、赤いやつ!」


 カエデが嬉しそうに俺を呼ぶ。さすがに黒箱はいきなり出なかった――これだけの敵なら出るかもしれない、と少し期待したのだが。箱自体が貴重なのに、名前付きを倒すとほぼ確実に出るので、感覚が麻痺してしまっている。


 考えうるとしたら、『牧羊神の寝床』という迷宮の名前に関係がある、羊の魔物。その名前つきと遭遇することができれば、あるいは――それは運が大いに絡むことになるか。


(やっぱりミサキは固定メンバーなんだよな……もっとしっかり守れるようにしないと。今は、テレジアがカバーしてくれてるけどな)


 ミサキの運がないと、探索効率は大きく落ちる。良い防具がつけられないと諦めていないで、プラスのついた防具を装備させてやりたい。それは他のメンバーにも言えることではあるが。


「先生、お疲れさまです! 初めて協力したのに、こんなに上手くいったのは、全部アリヒト先生のおかげです!」

「キョウカとシオンも、私たちを引っ張ってくれました。ミスター・アリヒトのパーティには、優秀なメンバーが揃っていますね」


 イブキとアンナも興奮気味で、頬が紅潮している。七番区の上位ギルドまで上がってきたパーティだが、素顔は年齢相応なのだと感じた。


 その後ろからやってきたリョーコさんは――何か、今までと比べてさらに態度が変わっている。元からおっとりしている彼女だが、さらにたおやかというか、遠慮がちというか。


「みんなそれぞれ、良い攻撃技能を持ってるんですね。リョーコさんも凄かったですよ、魔法使いみたいで」

「あ、あの……私、イルカのショーを手伝ったことがあって。それで、イルカに関係のある技能を覚えられると思うんですけど……アトベさん、見ていてくれたんですか?」

「はい、もちろん。最後の一撃は、リョーコさんでしたね。格好良かったですよ」

「っ……そ、それは、その……ね、ねえ。イブキとアンナもとってもいい子で、アトベさんとぜひ、少しでもお疲れ様をしたいと言って……そうよね?」

「え? そんな話別に……あっ……」

「し、していました。まだ目的の羊の魔物には会えていませんが、大物を倒したので、一度町に戻った方が良いのではないかと……そこで、心ばかりですが、懇親会など……いかがでしょうか?」


 イブキとアンナの反応を見るに、そんな話はしていなかったようだが、リョーコさんは満足そうに微笑み、頬に手を当てて顔をつやつやさせている。


「ま、まあ……一度戻るっていうのは考えてました。おそらく、射程外で手が出せない『名前つき』に、俺たちは例外的に攻撃を届かせられた。本来なら交戦することはまずない相手を、無理やり釣ってしまったんです。消耗も大きいし、一度戻って出直しましょう。一階層の敵の調査はできたし、次回は二階まで消耗せずに行けると思います」

「分かりました。では、ドロップ品の分配はアトベさんたちにお願いしますね」

「はい、後でリストを作るので、欲しいものがあったら言ってください。要望が重複したらそこは交渉で……」

「何言うてるのん、アリヒト兄さん。うちらでは倒せへん相手を倒したんやから、全部兄さんたちのおかげやんか。これで収穫も分けてもらったら、うちら兄さんにずっと頭が上がらへんよ」


 そこまで言ってくれるのなら、遠慮なくこちらのパーティ強化に素材を使いたいと思う。

戦った手応えでは、グランドモールの頭殻や爪、毛皮もそうだが、『背反の甲蟲』は全身が優秀な素材の塊のように思える。


 メリッサは包丁を抱きしめてふるふると震えていた。そして刃に舌を這わせ、恍惚とした顔で包丁を構える――解体をしようとしているだけなのに、この艶っぽさは何なのだろう。


「……はっ。ここで解体をするところだった。持って帰ってからにするべき……?」

「ここである程度解体して、貯蔵庫に送ることはできるか?」

「できる。倒した直後に解体すると『活け締め』という技能を使うことになって、肉や素材の鮮度が保たれる。『名前つき』は美味しいから、料理してみたらすごいかもしれない」

「そ、そうか……可能な範囲で頼む」


 今まで魔物食をそこまで究めようという意識はなかったが、特殊な効果を持つ肉があったりするならば、好き嫌いせず食べてみなければとは思う。


「……後部くん、わ、私も食べるの?」

「い、いえ、強制はしませんが。場合によってはみんなで食べることもありそうですね」

「…………」


 テレジアはお腹を押さえる――くー、とちょうどお腹の虫が鳴く。彼女はトカゲ系以外ならば好き嫌いをしないようなので、今回の素材も美味しく食べてしまいそうだ。しまいそうだ、というとゲテモノを食べさせようとしているようだが、そこは俺も同じ船に乗り、未知の味覚の海原へと漕ぎ出したい。


「アリヒトお兄さん、ドロップ品の収集が終わりました!」

「ああ、お疲れ様。ごめんなマドカ、戦闘させてやれなくて……レベル上げをどうするか考えないとな」

「大丈夫やで、支援職の人は『隠れる』とかの技能を使ってても、少しは経験値が入るねんから。全部の技能がそういうわけじゃないんやけど、一部の技能は、『戦闘参加判定』っていうのに入るんやって」

「本当か? じゃあ、マドカもレベルが上がってるんじゃないか」

「あっ……は、はいっ、ライセンスに、レベル3になったと出てます!」


 皆に確認してもらうと、マドカ、メリッサのレベルが上がっている――他のメンバーのレベルアップは、次の探索までお預けだ。


「よし、一旦引き上げよう。ギルドで報告して、ドロップ品の確認をして……『落陽の浜辺』の動向も調べてみるか」

「はい。みんなも異議はないみたいね。フォーシーズンズの人たちも」


 些細なことだが、五十嵐さんが『ええ』ではなく、『はい』と返事をした――そして、俺を補佐するように立ち振る舞う。


「……本当はどっちでも良かったのよね。後部くんと、私と……」

「え……五十嵐さん、何か言いました?」

「な、なんでもないっ……それじゃ、シオンちゃんと索敵を担当するわね。テレジアさんは後部くんについて、後ろのほうを警戒して」


 五十嵐さんはシオンとともに、引き上げる一行を先導していく。


 『俺と一緒に仕事をできれば、立場は問題ではなかった』というようなことを言おうとしてくれたんだとしたら――それは俺が自意識過剰なことを考えてるみたいだし、照れくさくて落ち着かなくなる。


「…………」


 テレジアは俺の様子を気にしてくれたのか、背中をさすってくれる。その気遣いが心にしみるが、甘えてばかりいてもいけない。


 いい年をしてまごついているのも何なので、五十嵐さんにはちゃんと言っておこうと思った。彼女が『フォーシーズンズ』に参加している間、どんなふうに感じたのか――俺のパーティにとって、五十嵐さんの存在がどれくらい大きいと思ったのかを。

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