毎日二度寝&遅刻系JKは異世界に転生して最強の女性剣士の体になるも、寝ないと力とセクシーな体を保てないようです。

@WataameMelon

第1話 JK、転生するの巻

 「おっはよお〜〜〜〜ママ〜〜、ふわぁ〜ねむ〜い、」

 有帆夏芽(ありほなつめ)は、お姫様ベッドから起き上がって、階段を降りて居間に向かった。

 そして、ボサボサのショートヘアの髪を掻きながら、扉を開けて中に入ると、母親からの怒号が聞こえた。

 「あんた、何時だと思ってるの??もう9時過ぎてるじゃない!毎日毎日おんなじことの繰り返しで、ほんと呆れるわ…」

 母親は、机の上を拭きながら大きなため息を付いた。

 「何で起こしてくれなかったの?そんなに怒るんだったら起こしてくれていいじゃん」 

 「自分で起きることもできない人なんて、駄目よ。いい、勉強はそこそこでもいいの。でも、日常生活を送っていく上で必要なことは、高校生までにしっかり身につけておくこと。こんなの小学生でもできるわよ。早くご飯食べて、学校行きなさい」

 「ちぇっ」

 夏芽は、舌打ちすると、着替えのために

洗面所に入った。

 そして、洗面台で顔を洗って、髪の毛をセットして、いつも愛用している星のヘアピンで髪の毛をまとめ、制服に着替えた。赤いリボンの付いたその制服は、入学当初は可愛いと言われていたものの、よれよれになって色褪せてしまっていた。

 着替え終わり、冷めてしまったしなしなの食パンを口に咥えて家を飛び出した。

 ほんのりとバターの風味が口の中に広がる。

 家を出る直前、家の中から「お行儀の悪いことをしないのー!」と食べながら学校に行く夏芽を叱る声がしたが、聞いていないふりをして、学校に向かって走り出した。

 走って向かう途中、夏芽は、前日に深夜の3時まで夜更かしをしていたので、とてつもない眠気が襲ってきた。

 目やにが眼球を覆い、ぼんやりとしか視界が見えない。 

 車などの大きなものは大体見えるが、自転車や、歩行者は近くにならないと気づかないレベルで目やにが酷かった。

 それでも、夏芽は食パンを全て口に放り込んで走り続けた。

 太陽が夏芽の視界をさらに遮る。

 大通りに出ると、多数の車がブーブーとクラクションを鳴らしながら道路を走行している。

 「あと、この大通りを渡ることさえできれば、学校に着くなぁ」 

 そう呟いて、目を擦って、視界が見えるようにした。

 しかし、手にバターの油がついていたので、結果的に目に油を塗りつけるだけになってしまった。

 「なんで、今日に限ってバターパンなのよぉ。油が目に入って見えなくなっちゃったじゃない!」

 そう独り言を言ったところで、ウェットティッシュの一枚もっていなかったので、夏芽は、ほとんど何も見えないまま大通りを渡ることにした。

 その大通りには、不運なことに信号機がついていない。

 しかも、いつもだったら、しっかり周りを見ながら渡ってあるのだが、深夜テンションが抜けておらず、まあいっか。のノリで渡る決意をしてしまった。

 なので、車が来ないタイミングを見計らって渡らないといけない。

 左、右、左、今だ!

 そうやって大通りに踏み出した。

 左右からは何も聞こえない。やったあ!

 と、思ったのもつかの間、前を向くと、大きなトラックがかなりのスピードを出しながら前進してきた。

 「あ」

 ドーン。キキキー。

 鈍い音がした。

 夏芽はトラックと正面衝突をしてしまったのである。

 ここで、夏芽の意識は途絶えた。




 「はっ!!!」

 夏芽はベッドの上で目覚めた。窓から注がれる光が眩しくて目は開けられなかったが、布団の中で、体をモゾモゾと動かしてみると、しっかりと動く。なんなら、体が軽い。

 「なんだ、夢だったんだ」

 そう思って、布団の中の自分の体を見ると、一瞬で眠気が吹っ飛んだ。

 太ももがむっちりしていて、いかにも淫乱お姉さんっていう感じになっていた。

 そして、胸が大きくなっていた。さっきまでBカップくらいだったのだが、Eカップ位になっていた。

 白いふかふかのタオルのような衣に身を包んでいた。

 いきなりエッチな体つきになっていた夏芽は、驚いて、おそるおそる布団の外を見た。

 シャンデリアが天井で揺れていて、カーペットが敷かれていて、なんとも、おとぎ話の世界のようだった。

 困惑していると、両開きのドアが、コンコンとなった。

 「入るわね、ローリア」

 (まずい、寝たフリをしなきゃ)

 夏芽は気づかれないように布団を体にかけて寝たふりをした。

 すると、外から体格の良い女性が入ってきた。 

 その女性は、白のベースで赤いラインの入った軍服のようなものを着ている女性で、その鍛えられた体は、とても美しかった。

 そして、ベッドに腰掛けて夏芽の頬に触った。

 「ローリア、あなたはもう起きないのよね。私が、私が、あそこでミスをしてしまったから、あなたは一生目覚めることのない体になってしまったこと、本当に許して…。あなたともっと一緒に戦いたかったのに、私のせいで、、、うっ、」

 夏芽は、寝たふりをしていたので、女性の顔まではしっかりとは見えなかったが、どうやら、泣いているようだった。

 ここで、夏芽は悟った。

 自分が異世界の何者かに転生していることが。

 たぶんローリアという人がすでに亡くなっていて、その体に魂が宿ったと。

 「ローリア、、、でも、君の体ももう触れなくなるんだよね。明日、あなたは火葬されてしまうんだから。」

 「なんだってえええ???」

 火葬という言葉に反応して夏芽は、ベッドから飛び出した。

 「ロ、ローリア……い、生きてたの?」

 女性は、透き通った青い瞳で夏芽を見た。カラーンカラーンと外で鐘が鳴った。

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