豚令嬢と呼ばれる公爵令嬢に転生しましたが前世のゲーム知識でどうにかしたいと思います。

ゆゆ

第1話 転生しまして

「…じょうさま。起きてくださいお嬢様。」


「うぅん…朝…って誰…?」


聞きなれない声がして起きるとそこには金髪のメイド服を着た女の人が立っていた。


こんな綺麗なメイドさんの知り合い私にはいないはずだけど…?


夢でも見てるのかな…?


「まだ寝ぼけてるんですか?私の顔は毎日見てるでしょう?」


「人違いじゃないですか…?」


「何を仰ってるんですか?あなたはこの屋敷の主…レングランド公爵の娘


アシェリー=レングランド様で間違いないです。


…もしかして記憶喪失になったのですか?」


アシェリー=レングランド…?


確かその名前…聞いたことがあるような気がする…?


「…鏡を持ってきてもらっても?」


「ここに」


メイドさんに借りた手鏡を使って自分の顔を見る。


そこにはブクブクに太った醜い顔が映っていた。


「嘘でしょ…アシェリー=レングランド…豚令嬢になってる…?」


鏡に映った顔は大人気ゲーム…ルミナスファンタジアに出てくる


アシェリー=レングランドそのものだった。


ルミナスファンタジア…それは世界中で大人気の乙女ゲームだ。


プレイヤーは主人公となり王立魔法学園へと入学する。


そこで王子や王女と出会い主人公の運命が変わっていく…というのがルミナスファンタジアの大まかなストーリーである。


ルミナスファンタジアが人気な理由の一つに自由性というものがある。


ルミナスファンタジアは大筋のストーリーこそ定められているもののそれ以外はプレイヤーによって変わってくる。


プレイヤーの選択次第で最終決戦に参加する仲間が変わったり、攻略できるキャラが変わったりするのだ。


そんな仲間に出来るキャラの中に一人、全くストーリーの大筋に絡まないキャラがいる。


それがアシェリー=レングランド。


見た目は丸々と太った豚ような見た目であだ名はその見た目から豚令嬢。


この作品において重要な要素である魔法を一切覚えないことが話題となった。


可愛くもないから攻略されることもなければ魔法も使えないから戦力にもならない。


そのうえストーリーにも一切絡まない。


そんな彼女につけられた評価は裁定中の最低。


最強キャラランキングでも唯一★1を付けられるほどだった。


「嘘でしょ…?どうなってるの…?」


ゲームの世界に生まれ変わった…?しかも豚令嬢に…?


「どうされましたか?」


「いえ…何でも…」


「朝食が出来てますので早く降りてきてくださいね。」


そう言ってメイドさんは部屋を出て行った。


一人になって改めて事を整理してみる。


私は自分の部屋で読書をしてて気づいたら寝落ちしてていつの間にかアシェリーになっていた。


…うん。わけがわからないよ。


何回考えても訳が分からない。


ゲームのキャラに転生するなんて…。


非現実的すぎる。


ちょっとほっぺを抓ってみる。


「いひゃい…」


どうやらこれは本当に夢ではないらしい。


「私ほんとにアシェリーに転生したのか…」


私は自分の顔を抓りながら現実を再確認する。


「…これからどうしようかな」


私はシャンデリアの付いた豪華な天井を見ながらひとり呟くのだった。



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