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教師:「はい、じゃあこれ。左手を置いて。」
あ~、またこれやらなきゃいけないのか。
嫌なんだよね、ビリビリ痛いし、時々吐き気するし。
教師が机の上に置いた機器の、手の形に窪んだ部分に左手を置く。
教師:「あ、その前にノート。忘れてたわ。」
はあ、めんどくさ。
あたしはいったん手を機器から離し、鞄の中からノートを出して、ページを開いて机の上に投げやった。
改めて左手を機器にセットする。
教師:「では、スイッチ押しますね。」
言い終わるより早く、教師はスイッチを押していた。
大人は大好きだよね、目下の拒否を許さないやり方が。
機器の蓋が閉じ、左手は手首までロックされた。
手の甲に当たる感触が、小さい頃に道路で遊んでいてバイクに手を轢かれた時の事を思い出させてくれた。
3
2
1
バチッ!
左手に電気が走る。
特有の不快感を脳が示す。
「加法の交換法則a+b=b+a加法の結合法則a+b+c=(a+b)+c=a+(b+ⅽ)乗法の交換法則ab=ba乗法の結合法則abc=(ab)ⅽ=a(bc)分配法則(a+b)×ⅽ=ⅽ×(a+b)=ac+bc」
自分の意思とは関係無く、頭が情報を認識した。
右手を動かして、ノートに書き留める。
頭の中に送り込まれた情報を定着させるためにやるべきだそうな。
教師:「できましたね。カートリッジを替えます。」
カートリッジってなんだっけ?
ああ、いいや、なんか交換するんだね。
教師:「次は歴史です。」
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