第20話

「アキナちゃん、わかっているんだ。直感でとんび君が危ないということが」


「とんび…?あの変態が危ない?」


「信じてごらん。とんび君の笑顔を」三尾は続けた。「好きなんだろう」


「そんな私、あんな···でも本当に変です」


三尾は額の赤い目を開いた。

「よく降りなかった、偉いぞアキナちゃん。愛するということは信じること。もっとも弱い人間がもっとも強くなる、それが愛だよ」


燕が空を低空飛行する。

「私も娘に教えられてね」


三尾が光で包まれた。「もうとんび君は大丈夫だ。アキナちゃん君の愛を‘いのちの聖’に昇華させた」光で周りが見えない。


「と、とんびは!?」





目を覚ました。「とんび!!」


「あ、アキナちゃん、どうしたの、風邪で寝ていたんだって?風邪は万病のもとだよ。もっと休んでいなよ」とんびは堂々とアキナのマンションに上がり込んで、せんべいを食べていた。


「食べる?のど痛くない?」


アキナは泣きだして笑った。「本当にバカで変人なやつだな!!」

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