第26話 盗賊
出発は2日後。
今度は王都に行くのだ。
仕事はアイテムボックスを使って荷物を運ぶだけ。
最初はお試しで少量の品物を運ぶことになった。
とはいっても歩くことはなく荷馬車に乗って旅をするだけ。
とても楽だと思う。
これで2万ネルとは…いい稼ぎになる。
アンやカモミールさん達に言っといたほうが良いのだろうか?
今回はアンには出発することを言っておこう。
****
俺は荷馬車でやり取りを思い出していた。
カモミールさんは早く帰って来てね!と言っていたのに対し、アンは顔を背けて行ってらっしゃいとだけ。
少し落ち込んだ。
前回、何も言わないで出かけちゃったから…怒っていた?のかな。
荷馬車だと順調にいって5日くらいで王都に着くらしい。
オーランドさん(雇い主)と護衛の人3人(冒険者グループらしい)と俺。
他の普通の荷物運びも俺がすることになっているらしい。
盗賊とかに襲われでもしない限り安全な旅だ。
きっと何もない…だろう。
カモミールさんいないけどいたら心強かったかも。
魔法簡単に使っていたし。
…他人を当てにしてるとか駄目だよな。
せめて俺が魔法を使えるようになるといいんだけど。
魔法・・か。
防御魔法と攻撃魔法、簡単なものでいいから出来るようにならないかな?
知識が俺の頭の中に入ってくる。
あれ?出来るようになるかも?
こっそり練習してみようっと。
深夜遅く、皆が寝静まった頃に少しずつ魔法の練習をしてみた。
威力が小さいがこの程度なら何とかなりそうだ。
この世界で呼ばれている低級魔法とかいうらしい。
防御魔法と火の攻撃魔法。
何も無いとは思うけど一応念のため。
明日には王都に着くらしい。
いつもの様に野営をして休む俺たち。
今日も何事もなく過ぎるかな…。
テントの中でうつらうつらしていた。
「………。」
ん?
妙な胸騒ぎがして目が覚めた。
男達の声が聞こえる。
「大人しくしてれば命までは取らねえよ。」
「ひぃ」
オーランドさんの悲鳴が聞こえた。
どうやらナイフを首元に突き付けられているようだ。
薄暗くて見えないが商品はあらかた持っていかれたのかもしれない。
「目玉商品はどこにある?」
「な、何のことでしょう。」
しらを切りとおすオーランド。
あー俺のアイテムボックスの商品かも。
そういえば護衛の人たちはどうしたんだ?
盗賊?に易々と侵入されてるなんて。
「もしかして…この少年か?」
「この人はただの商人見習いです。何も知りません。」
俺がまだ寝ていると思われているらしい。
そのうち近づいてくるかもしれない。
顔見えないかな…。
と思っていたら暗闇でも見える
上から見下ろす
え?どうなってんのこれ??って混乱しかけたけどそんな場合ではない。
オーランドにナイフを突きつけてる人…口元を覆っているけど護衛の人じゃね?
あ~そういう事か。
他の人は…っと。
他の人も口元を覆っていたが護衛に付いていた人だった。
何だこれ。
どうしたものかな。
助けるだけなら出来るかも。
俺は覚えたての火の魔法を盗賊の目の前に発動させた。
「うわっ。」
思わずオーランドを離す盗賊。
その隙に俺は依頼主の元へ移動。
外へ連れ出した。
それでもすぐに追いつかれる。
それも予想していた。
「ま、魔法使えたのか?」
「最近覚えたばっかりだけどね。」
”ポーン”
俺は花火を呼び寄せた。
脅しにはなるかな?
火をつけて盗賊に投げつける。
火薬が爆発し大きな音がした。
驚いている隙に俺とオーランドは近くの山林に逃げ込む。
最近気が付いたことがある。
俺の引き寄せは俺の物じゃなくても引き寄せ出来るらしいという事。
俺の住んでいた世界の物ならば大丈夫らしいのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます