第11話 塩を手に入れる

俺はアンと町に来ていた。

服を買うために。

いったいいくらするのだろうか。

値段が分からないものって怖い。


「古着屋でいいよね?」

助かる~。

心の声を聞いてくれたのだろうか?


「ここ、良く来るお店なんだ。」


アンに案内してもらう。


助かった。

お金持ちに見られてたら、普通の服屋だと高いものを勧められる可能性があるからだ。


こっちの世界にも古着屋があるとは。


よく分からないから適当に見つくろってもらう。

アンには感謝しかないな。



****



俺はギルドに来ていた。

リアさんに塩の事を聞いてみようと思ったからだ。


「あら、あら…。」


リアさんは少し驚いているようだった。


「ミライさん良いじゃないですか。その服、今までちょっと…ちぐはぐだったんですよね。」


素朴な麻の上着に簡素なパンツ。

色も素朴な色合いだった。

袖も裾も少し短めのようだが、これが普通らしかった。


「あの~変な事聞くけど‥塩ってどこに行けばあるかな。」


「塩ってあれですか。そりゃ、教会にありますけど、儀式用に使ってる物を何に使うんですか?」


教会にあるのか。

食用には使わないのかな?

そういえば、アン達には普通に塩って言っちゃったけど、大丈夫だったのかな。

教会…。

祀られているのはラシーネかな?


「そうなんだ。有難う。」


教会か…。

俺はそういう信仰心とか全くないしな。

どうしたものか。




「塩?ああ、あれ塩だったの?色ついてるから違うものだと思ってたよ。」


村に戻って、アンに聞いてみた。


「う~ん。多分だけど教会で作っているんじゃないかな?どうやってるのかは知らないけど。」


海水を鍋に入れて煮て蒸発させてるのかな?


「分けてもらえばいいんじゃない?ここは海から大分離れてるし、自分で作るのは大変だよ?」


「寄付すれば多分大丈夫だよ。」


なるほど。

そういうことか。

どこの世界もお金かぁ。

俺は妙に納得してしまった。



****



教会はレイト町にあった。

前の世界の建物に似てるなぁ。

木の大きなドアを開けてみた。

知らない場所ってドキドキするな。


中に入ると、ラシーネ?の像が前の方にあり、椅子が沢山あって人が座れるようになっていた。

思っていたより広いな。


「あら、お祈りに来たのですか?」


さて、どう答えた方がいいのだろうか。


金髪の黒いフードを被った若い女性が話しかけてきた。

この教会の人なのだろう。


「ちょっと、お聞きしたいことがありまして…。」


俺は率直に用件を告げる。

「塩を譲ってもらえないかと。寄付いたしますので。」


女性はしばらく思考した後


「そうですか。少しなら融通ききますので、ちょっと待ってて下さいね。」


ほっ、意外と話が分かる人でよかった。

イメージ的に頭固そうだもんな。


茶色の小さい巾着袋に塩を入れてきたようだ。


「どのくらい包めばいいですか?俺、寄付ってしたことないので。」


「気持ちで良いんですよ?」


にこっと笑っているが、本心は分からない。

多めが良いのに決まっている。

俺は残っていたお金1000ネルを手渡した。


また依頼頑張らないと‥‥。



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