第23話

俺は思った。思ったことを言おうと思った。


「俺は味方したい」


「えっ?」


悪口言われて、それを慰める言葉も、状況を変える言葉もどうせ俺には分からない。


なら


「俺は、冬ちゃんといたい」


「・・・っ?」

冬ちゃんは驚いた顔で俺に見て来る。


「俺は冬ちゃんの良いところ知ってる!!」


「良いところ?」


「冬ちゃんは優しくて、辛い人によく一緒にいる。泣いている人を励ましてる。楽しいこといっぱい知っている。だから、」


「・・・だから」


冬ちゃんは、俺に聞いて来る。だが答えがでない。言葉が


「負けないで!!」


「・・・負けない?」


「そう、家族にも辛いことも友達にも(塾のようないじめも)。冬ちゃんは凄いもん、だから負けないで!!」


「・・・」


俺は必死に答えた。本当は冬ちゃんとは全然話したことないし、よく分からない。楽しそうに、友達に優しそうにしているところを見ているだけだった。そうだから、知りもしないことを言い続けた。

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