呪いのTS魔法少女さん

@yuyu_yu4696

第1話

「ねぇ、君。魔法少女やってみない?」


"それ"は突然やってきた。どうしてこうなってしまったのか。時は少し前に遡る。


◆◇◆


とある学校の体育館裏での出来事…。


「ぐっ…!」


俺…、「月亰 祈」は虐められていた。何故か?そんなこと俺が知るはずないだろ。虐められる側には虐められる理由がある…というが俺は本当に"何も"していない。それなのに…、なんで俺はこんな目に遭わないといけねーんだよ…。やっぱりクソだわこの世界。俺が死んだら絶対にこいつら末代まで祟ってやるからな…!


「あ"?なんだよその目。調子乗ってんじゃねーぞ。この雑魚が!」


「がはっ、」


その時、不意にチャイムが鳴る。


「あ、やっべー。授業始まるじゃん。」


ようやく解放された。マジであいつら容赦ねーな。と心の中で呟く。彼らは恐らく俺でストレスの解消をしているのだろう。俺を選んだ理由はきっと、俺に両親がいないからだろう。俺には頼れる人間がいないと高を括ってやがる。ムカつく。実際その通りだから余計にな。


◆◇◆


結局その日は階段で盛大に転んだことにして早退した。両親がいなくて一人暮らし…両親の遺産で暮らしてはいけてるが収入がないとこれから先、暮らしていくには少し心許ない…将来を盤石なものにする為、少しでも就職活動を楽にするために高校を卒業しようとしていた…が、無理そうだ。このままじゃ、俺が持たない。


そう考えながら駅のホームで電車を待つ。すると背中に「ザクリ」と何かが刺さる。


「は?」


背中が熱い。後ろを見るとフードを深く被った男が俺の真後ろに居た。男はそのまま俺のことを線路に突き落とした。運悪くそこには通過する電車が。不思議と頭の中は冷静だった。これで終わりにできるならそれはそれで…とでも思ったのだろう。

時間が遅く感じる。走馬灯ってやつかな。


…?走馬灯長くね?すぐそこに電車が迫っているはずなのに一向にぶつかる気配がない。


「ねぇ、君。魔法少女やってみない?」


そうして冒頭にもどる。それは突然現れた。


「お前…、誰だ?」


小さな少女のような姿をしている"それ"が一体なんなのか俺には分からない。


「んー、妖精…かな?好きに呼んでくれたらいいよー。」


「これ、お前の仕業か?」


動かない体、止まっているわけでもないのに動かない電車。急に通り魔に刺されたりで脳の処理が追いつかない。


「ま、そんなとこだよ。所で魔法少女にならないかい?」


魔法少女…て、よく見る女児向けアニメみたいな感じか?いや、俺…男だけどな?いや、そんなのも分からないあんぽんたんなのかもしれない…。


「失礼なこと考えてるねー?」


…!?こいつ心の中を読んできやがった。どうやら、なんかのドッキリとかではないらしいな。ま、これがドッキリなら手がこみすぎてるしまず不可能だろう。背中刺されてるし。


「なんで俺に?」


そう聞くとそいつは


「愚問だね。君には素質があると思った。それだけだよ。それに…」


妖精の口が動き続ける。


「君にはきっとヒーローがお似合いだ。弱者の苦しみを理解する君には。」


「ヒーロー…そんなのは俺の柄じゃないかな。」


そういうと妖精は少し驚いた表情をしてその後満足そうに笑った。


「あっはは。やっぱり君面白いね。ちょーっと煽てれば簡単に乗ってくれると思ったのに。でも残念。君に拒否権なんてないのに。」


そう言うと電車が突然俺に激突する。痛みを感じる暇なく俺の意識は途絶えた…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る